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国連総会、米国のキューバ経済制裁を非難、33年連続

キューバに対する米国の経済制裁は1960年にカストロ政権が米国企業を国有化したことを受けて開始された。
キューバ、首都ハバナの在米国大使館(Getty Images)

国連総会は29日、米国による対キューバ制裁を非難する決議を賛成多数で採択した。

採決の結果、賛成165、反対7、棄権12。昨年は賛成187ー反対2(米国とイスラエル)、棄権1であった。

今年はトランプ政権とつながりの深いアルゼンチン、ハンガリー、ウクライナなどが反対に投じた。

総会の決議に拘束力はない。

トランプ(Donald Trump)大統領は就任初日、バイデン前政権が政権交代直前に決定したキューバに対する「テロ支援国家」指定解除を取り消し、送金規制を強化し、移住プログラムを停止した。

キューバの国連大使は同国でハリケーン・メリッサの被害が拡大していることに深刻な懸念を表明し、米国の経済制裁が復興の足かせになると非難した。

米国務省の報道官は29日、キューバ大使の発言を一蹴し、共産党への制裁を継続すると誓った。

キューバに対する米国の経済制裁は1960年にカストロ政権が米国企業を国有化したことを受けて開始された。

以後、1962年には全面的な経済封鎖が発動され、現在に至るまで基本的に継続している。米国企業との貿易禁止、金融取引や投資の制限、第三国企業への二次的制裁などが含まれ、キューバ経済に深刻な影響を及ぼしている。

オバマ政権期には外交関係の回復と一部緩和が行われたが、トランプ政権が再び制裁を強化し、バイデン政権下でも大幅な緩和には至らなかった。

現在のキューバ経済は慢性的な外貨不足、インフレ、物資欠乏に苦しんでおり、新型コロナの影響で観光収入も激減した。

政府は限定的な市場改革や外国投資誘致を進めているが、制裁の継続と生産性の低迷が成長の大きな妨げとなっている。

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