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国連、ハイチ首都の虐殺事件を非難、ギャング間抗争で42人死亡か

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
2021年10月23日/ハイチ、首都ポルトープランスのガソリンスタンド(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

国連は13日、中米ハイチ・ポルトープランス北部の漁村で少なくとも42人の市民が武装ギャングに殺害されたという報道を受け、非難声明を出し、暴力の即時終結を呼びかけた。

地元ラジオ局は「漁村を支配するギャングと対立する別のギャングの抗争が激化し、多くの住民が巻き込まれた」と伝えている。これにより、少なくとも42人が死亡したとのこと。

政府、暫定大統領評議会、国家警察はこの事件に関するコメントを出していない。

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は声明で「ハイチを揺るがす暴力の深刻さに強い懸念を抱いており、地元当局に対し、これら及びその他全ての人権侵害・侵害行為の加害者を法の下に裁くよう強く促す」と述べた。

地元ラジオ局は首都ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立するギャングがこの漁村を含む地域一帯を取り囲み、町全体を攻撃していると伝えている。

このギャングはヴィヴ・アンサムに近い武装グループのリーダーを殺害したとされるが、詳細は不明。現場で何が起きているかも分かっていない。

米政府は5月、ヴィヴ・アンサムと中部アルティボニット県に拠点を置くグラン・グリフを「外国テロ組織」と「国際テロリスト」に指定した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。

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