国連安保理、ハイチミッションの増強を承認「ギャング鎮圧部隊」
採決の結果、ロシア、中国、パキスタンが棄権。賛成12ー反対0で承認された。
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国連安全保障理事会は9月30日、ギャング暴力に圧倒される中米ハイチ政府を支援するため、より強力な国際部隊を派遣する決議案を採択した。
米国とパナマが共同提出した決議により、現在ケニアが主導するハイチ国連支援ミッション(MSS)は「ギャング鎮圧部隊」に移行する。現行部隊にはない、ギャングの拘束権限が付与される。
採決の結果、ロシア、中国、パキスタンが棄権。賛成12ー反対0で承認された。
ケニア国家警察が率いるMSSは24年6月にハイチに到着。当初2500人の兵力を予定していたが、資金不足に悩まされ、現在の兵力は1000人を下回っている。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは4年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。
米・パナマの決議はMSSを主導するケニアへの謝意を表明しつつ、ギャングの急激な拡大に対応できておらず増強が必要だという国連事務総長の2月の見解を再確認している。
決議は国連加盟国に対し、ハイチ政府と協力してギャング鎮圧部隊への移行を実施するとしている。
この部隊は5500人の制服要員と50人の民間人で構成され、国連加盟国が資金を拠出する。
国連ハイチ事務所は今年、9億800万ドルを調達することを目標にしているが、調達率は今月初め時点で9.2%にとどまっている。
ハイチ暫定大統領評議会は30日、決議案が採択されたことを歓迎。治安回復に向けた重要な一歩であると強調した。
MSSの任務は10月2日に終了する。