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米国、キューバに石油を供給する国に追加関税へ

この大統領令はキューバに石油を直接あるいは間接的に提供する国からの輸入品に対して追加関税を課す仕組みを設けるもので、対象国や品目は国務長官と商務長官が必要な措置を決定する権限を持つとしている。
キューバ、首都ハバナ(Getty Images)

トランプ(Donald Trump)米大統領は29日、キューバに石油を供給する国からの輸入品に対し関税を課す大統領令に署名した。ホワイトハウスが明らかにした。トランプ政権は同日、国家非常事態を宣言し、キューバを支援する国々に対する新たな経済制裁措置を強化する狙いだとしている。

ホワイトハウスによると、この大統領令はキューバに石油を直接あるいは間接的に提供する国からの輸入品に対して追加関税を課す仕組みを設けるもので、対象国や品目は国務長官と商務長官が必要な措置を決定する権限を持つとしている。またトランプ氏は対象国が米国の国家安全保障や外交政策の目標に沿う対応を取った場合は修正・変更することも可能だとしている。

今回の措置はキューバ共産党への石油支援を断つことによって圧力を強め、共産主義体制の弱体化を狙うトランプ政権の長年の方針と一致するものであり、制裁対象となる国への影響が懸念される。キューバは長年、ベネズエラなどからの石油供給に頼ってきたが、米国の最近の行動はこの関係にも大きな影響を与えている。トランプ氏は最近、「キューバは間もなく倒れる」と述べ、ベネズエラからの石油や金融支援が途絶えていることを踏まえて同国の経済悪化を強調していた。

この関税措置に対して、対象となる可能性のある国々は警戒感を示している。メキシコ政府は米国の報復措置への懸念からキューバへの石油供給を見直す議論を進め、トランプ政権の対応次第では供給の一部停止も検討されているという。ただし、メキシコ側は人道支援の継続と国家主権の尊重を掲げ、決定は容易ではないとの見方が出ている。

米政府内では、今回の関税措置は国家安全保障と外交政策の双方に資するものだという主張がある一方で、国際貿易環境や同盟関係への影響については慎重な見方も存在する。トランプ政権は過去にも国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に、他国の行動に応じて関税措置を強化してきた。今回の措置はキューバ情勢という特殊な地政学的環境を背景にしている。

一方で、トランプ政権のこうした強硬策は国際社会からの反発を招く可能性もある。すでに他の制裁措置に対しては欧州やアジアの諸国が懸念や批判を表明しており、世界の貿易関係に波紋を広げている。特に、米国が特定の国々の対キューバ支援を問題視して関税を課すという発想は、従来の関税政策の枠を越えた外交的圧力として受け取られる可能性がある。

トランプ氏はこの関税措置により、キューバ政府とその支援国に対する圧力を一段と強めるとともに、米国の外交的立場を強化する狙いを持つとみられる。今後、対象国との協議や反発、そして世界の貿易構造にどのような影響を与えるかが注目される。

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