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トリニダード・トバゴが米軍の空港利用を許可、ベネズエラ猛反発

トリニダードとベネズエラは海峡でわずか11キロメートルほどしか離れておらず、地理的に非常に近い関係にある。このため米軍の活動や基地利用の許可は、ベネズエラ側で強い反発を引き起こしている。
2025年10月26日/トリニダード・トバゴ沖、米海軍の駆逐艦(AP通信)

カリブ海の島国トリニダード・トバゴ政府は15日、米国とベネズエラを巡る地域の緊張が高まる中、米軍に同国の空港利用を許可すると発表した。

これにより米軍は同国の主要空港を補給や人員交代といった後方支援の活動拠点として活用できるようになる。トリニダード外務省は声明でこの方針を明らかにしたが、具体的な運用詳細は明示していない。

同国には2つの国際空港があり、米軍はこれらを活用する予定とされる。声明では、米軍の利用はあくまで補給物資の補充や定期的な人員交代に限定され、他国への攻撃拠点として利用しないと強調している。

パサードビセッサー(Kamla Persad-Bissessar)首相はこれに先立ち、カリブ海での麻薬取締を名目にした米軍の行動を支持する姿勢を示していた。

トリニダードとベネズエラは海峡でわずか11キロメートルほどしか離れておらず、地理的に非常に近い関係にある。このため米軍の活動や基地利用の許可は、ベネズエラ側で強い反発を引き起こしている。

トリニダード政府の発表から数時間後、ベネズエラのマドゥロ政権は天然ガス供給契約などトリニダードとのあらゆる交渉や合意を直ちに白紙撤回すると表明した。

また政府はトリニダードが米国に協力し、自国領土を「米軍の航空母艦」のように攻撃の拠点に変えたと主張した。

さらに、米軍がトバゴ島の空港に設置したレーダーシステムを挙げ、「トリニダード首相はベネズエラに対する敵対的な政策を進めている」と批判した。

これに対し、パサードビセッサー氏は声明でこの主張を「戯言」と一蹴し、米軍の行動とトリニダードの政策は混同されるべきではないと反論した。

またパサードビセッサー氏は天然ガス供給についても、「これまで一度もベネズエラに依存したことはない」と述べ、国の立場を明確にした。

一方、トリニダード国内では政府の決定に対して批判の声も上がっている。与野党の一部議員は米軍の空港利用許可をめぐり、政府が国の主権を損なっていると指摘した。

野党は政府が「米国の行動に協力することで自国を衛星国家のように扱わせている」と厳しく批判、通常の友好協力では説明できない動きだと訴えている。

米国はこの数カ月、カリブ海地域で軍事的存在感を強めている。米軍は近海で麻薬密輸船に対する攻撃を何度も実施しており、80人以上の死者を出したと報告されている。

トリニダードの港湾には米海軍の駆逐艦が寄港し、地域の安全保障協力の一環として共同演習が行われたこともある。これに対し、ベネズエラ政府は米国の動きを侵略的だとして警戒している。

今回の合意は、トリニダード・トバゴが地域の安定維持を図るため米国と協調する姿勢を強める一方、隣国ベネズエラとの関係悪化を招く可能性が高く、カリブ海地域の安全保障環境に大きな影響を与えるとみられている。今後の米国とベネズエラ、そして両国を取り巻く外交・軍事上の動向が注目される。

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