トリニダード・トバゴでギャング暴力激化、政府が非常事態宣言
これはパサードビセッサー氏が国家安全保障会議の勧告を受けて決定したもので、法執行機関に対して令状なしでの逮捕や捜索といった通常より強力な権限を与えるものだ。
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カリブ海の島国トリニダード・トバゴのパサードビセッサー(Kamla Persad-Bissessar)首相は3日、全国各地でギャング犯罪が多発している状況を受け、非常事態宣言を発出した。1月31日に前回の非常事態が解除されてから約1カ月後の再発動であり、政府は治安悪化が深刻であるとして強権的措置の継続を選択した。今回の宣言は15日間有効だが、必要に応じて延長が可能であるとしている。
これはパサードビセッサー氏が国家安全保障会議の勧告を受けて決定したもので、法執行機関に対して令状なしでの逮捕や捜索といった通常より強力な権限を与えるものだ。パサードビセッサー氏は信頼できる情報として、警察官や刑務官、法務関係者への計画的な攻撃の可能性があると説明し、暴力的なギャング犯罪の激化が公共の安全を脅かしていると強調した。
トリニダード・トバゴは過去14カ月間のうち約10カ月間を非常事態下で過ごし、犯罪との長期的な戦いが続いている。政府は複数の地域で多発する大規模な銃撃事件やギャング同士の報復殺人が治安情勢を悪化させていると指摘し、こうした暴力の連鎖を防ぐための切迫した対応であると述べた。
警察の統計によると、2026年に入ってからすでに63件の殺人が記録され、昨年同時期の数字とほぼ同水準に達している。この暴力の多くが組織犯罪やギャング関連とみられ、一般市民に深刻な不安をもたらしている。
非常事態宣言発出に対しては、政府の取組みを支持する声と批判の声が混在している。一部の治安専門家や与党支持者は、強権的な措置を通じて犯罪組織への圧力を強めるべきだと訴える。一方、主要野党や市民団体は恒常的な非常事態の繰り返しは市民の自由を侵害し、根本的な治安改善には結びつかないと批判している。野党指導者は声明で、「政府は市民の自由を制限する前に、効果的な犯罪対策や社会的な取り組みを優先すべきだ」と述べた。
観光業界からも懸念が出ている。観光協会の代表は、非常事態宣言が観光客誘致に悪影響を与える可能性を指摘し、他国が安全な旅行先として選ばれる中での打撃を懸念している。現在、ウクライナや中東での紛争が世界的な旅行パターンに影響するなかで、トリニダード・トバゴでは治安不安が追い打ちをかける形となっている。
トリニダード・トバゴ政府は今回の措置が一時的なものであり、公共安全の回復と社会の正常化に向けた一定の成果を得ることを目指すとしている。しかし、恒常的に非常事態を繰り返すことが政治的手段に偏っているとの批判も根強く、治安改善の抜本的な解決策が求められている。
