米キューバ間のビジネス紛争、米最高裁が介入
対象となっているのは、1996年制定のヘルムズ・バートン法(正式名称:キューバ自由・民主連帯法)の適用範囲であり、同法が米国民に認めるキューバ共産党による財産没収への損害賠償請求権の解釈が争点となる。
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米国の連邦最高裁判所が22日、キューバとの長年にわたる企業間紛争を巡る法的問題を審理し、数十億ドル規模の賠償請求に関わる2件の訴訟に向き合っている。対象となっているのは、1996年制定のヘルムズ・バートン法(正式名称:キューバ自由・民主連帯法)の適用範囲であり、同法が米国民に認めるキューバ共産党による財産没収への損害賠償請求権の解釈が争点となる。今回の審理は、同法の中核規定である「タイトルIII」を最高裁が初めて解釈する機会となる。
両訴訟のうち一つは米エネルギー大手エクソンモービルが、キューバの国営企業CIMEXを相手に1960年に没収された石油・ガス関連資産について10億ドル超の賠償を求めたものである。原審ではキューバ側が外国主権免除の主張を認められたことが、エクソンの救済を困難にしているとの判断が下されており、同社側は最高裁にこの判断の覆しを求めている。
もう一件は、フロリダ州拠点のハバナ・ドックス社が、かつてハバナ港の埠頭を建設・所有していたとして、クルーズ船大手のカーニバル、ロイヤル・カリビアン、ノルウェージャン・クルーズライン、MSCクルーズを相手に訴訟を起こしているものだ。この会社はオバマ政権時代に旅行規制が緩和された2016〜19年に同社の旧所有埠頭をクルーズ会社が利用したとして、約4億4000万ドルの賠償を求めていたが、控訴審が請求を退けている。
ヘルムズ・バートン法はキューバ革命後に共産党が没収した米国民の財産に対して民事訴訟を起こす権利を認める一方で、大統領に国家利益の観点から訴訟提起権の停止を命じうる権限を付与している。クリントン、ブッシュ、オバマの各政権はこの訴訟権を長年にわたり停止してきたが、トランプ政権は2019年に停止を解除し、約40件の訴訟が提起されていた。
最高裁は今回、タイトルIIIが想定する救済の強さや、外国主権免除の適用の是非、さらには原告が現代における財産権を立証する必要性など、司法的障壁の有無を判断することになる。これらの判断は米国とキューバの企業関係だけでなく、他国企業のリスクと法的責任にも影響を及ぼす可能性があるとの見方がある。
専門家は過去の下級審判決が原告にとってコストと時間の双方で大きな負担となっており、最高裁がどの程度までこの負担を軽減するかが焦点だと指摘する。また、クルーズ会社側は旧政権がオバマ時代に政策としてキューバとの関係改善を促したことを挙げ、「当時の政策に従っただけで賠償責任を負うべきではない」と反論している。
最高裁の判断は今後数か月で示される見込み。ヘルムズ・バートン法の解釈は米国とキューバの経済関係の今後や、国際企業の法的リスク評価に影響を与えるとみられている。
