キューバ・ハバナ大学でエネルギー危機に抗議する学生デモ、政府高官と面会も
ハバナ大学の階段で学生たちが座り込みを行い、停電や交通混乱によって授業が大幅に削減されている現状への不満を訴えた。
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カリブ海の島国キューバで深刻化するエネルギー危機の影響が教育現場にも広がる中、首都ハバナの大学で9日、学生による抗議デモが起きた。ハバナ大学の階段で学生たちが座り込みを行い、停電や交通混乱によって授業が大幅に削減されている現状への不満を訴えた。
抗議はハバナ大学の正面階段で行われた。参加者は20人余りと小規模だったが、キューバでは学生による抗議が珍しいことから注目を集めた。学生たちは日差しの強い屋外で座り込み、大学の教授や職員と議論を交わしながら、教育環境の改善を求めた。
背景には同国で深刻化している電力不足がある。燃料不足による停電や交通機関の混乱が続き、大学でも対面授業が減少、オンライン授業への切り替えが進んでいる。しかし、通信環境も不安定で、インターネットの接続が遅い、あるいは利用できない学生も多く、学習に大きな支障が出ている。
学生の1人はAP通信の取材に対し、政治的な立場からではなく教育を守るための行動だと強調した。「私たちはどちら側でもない。ただの大学生だ」と語り、やむを得ず抗議に踏み切ったと説明した。共産党への批判を公にすることには慎重さが求められる社会状況もあり、多くの学生は報復を恐れて匿名で発言している。
事態を受け、教育省の幹部が学生の前に姿を見せ、直接説明を行った。この幹部は大学財政や教育環境の悪化を認めたうえで、現在の危機は米国政府による制裁と石油供給の遮断によって悪化したと主張した。また、抗議に参加した学生に対する処分は行わないと述べ、対話を続ける姿勢を示した。
キューバでは近年、燃料不足や発電設備の老朽化などが重なり、全国で停電が常態化している。2024年以降は全国規模のブラックアウトも相次ぎ、政府は節電措置や授業のオンライン化などで対応してきたが、市民生活や社会活動への影響は甚大である。
さらに状況を悪化させたのが米国の対キューバ圧力強化だ。米国はベネズエラからキューバへの石油輸送を止める措置を取り、同国の電力供給は大きく制約されている。国内のエネルギー生産は需要の約3分の1しか賄えないとされ、燃料不足が社会全体に波及している。
学生たちは対話が進まなければ再び抗議デモを行う可能性も示唆している。教育の継続と生活基盤の安定を求める声はエネルギー危機に揺れるキューバ社会の現状を象徴するものとなっている。
