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メキシコ海軍の医療飛行機墜落、6人死亡、2人救助 米テキサス州沖

この飛行機はメキシコの非営利組織(NPO)と連携し、重度のやけどを負った子どもをテキサス州ガルベストンの病院に搬送する任務中であった。
2025年12月22日/米テキサス州ガルベストン、メキシコ海軍の医療飛行機が墜落した現場近く(AP通信)

米テキサス州ガルベストン沖で12月22日に発生したメキシコ海軍の小型機墜落事故について、搭乗していた8人のうち6人の死亡が確認された。

事故機は重度のやけど患者を搬送する医療ミッションに従事しており、現場周辺は濃い霧に覆われていた。墜落の原因は現在捜査中である。

この飛行機はメキシコの非営利組織(NPO)と連携し、重度のやけどを負った子どもをテキサス州ガルベストンの病院に搬送する任務中であった。飛行機には海軍関係者4人と子どもを含む民間人4人が搭乗していた。飛行中、航空管制官との交信が約10分間途絶え、その後墜落が確認された。

事故後、救助隊は機体の残骸から5人の遺体を収容し、2人の生存者を発見した。さらに行方不明になっていた29歳の海軍中尉の捜索が続けられていたが、23日夜に遺体が発見された。家族はメキシコ南部ベラクルス州の農村部で情報を待ち続け、悲嘆に暮れていた。

墜落現場近くでは、地元住民が濃霧の中で救助活動に参加し、生存者を救出するために水中に飛び込んだ。ある住民は機体残骸の下で重傷の女性を発見し、わずかな空間で息をしていた女性を救い出したが、その際に既に死亡していた男性の遺体も引き揚げたという。その勇敢な行動は現地メディアでも報じられている。

事故機はガルベストンにあるショールズ国際空港への着陸を試みていたが、レーダーの記録では視界不良の中で高度が低すぎたという専門家の分析も出ている。米連邦航空局(FAA)と国家運輸安全委員会(NTSB)の事故調査官は、計器着陸システムの故障や濃霧の影響で適切なアプローチが困難だった可能性を指摘し、離着陸の判断に問題があったかもしれないとの見方を示している。

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は事故について「悲劇的な出来事」と表明し、遺族に哀悼の意を示すとともに、原因究明に向けた調査を約束した。現在、米国とメキシコ両当局が共同で事故原因の調査を進めており、飛行データや気象情報、整備記録の分析が行われる予定である。NTSBは初期報告が30日以内にまとまる見通しとしている。

この墜落事故は民間・軍用を問わず医療搬送を含む航空ミッションに対する安全性への懸念が高まる中で発生した。特に濃霧や機器トラブルといった環境要因が重なる場合、安全な飛行の確保が一層重要であるとの指摘が専門家から出ている。今回の事故は現地社会に衝撃を与えるとともに、航空安全のあり方を改めて問うものとなっている。

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