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メキシコ大統領「キューバへの原油供給増やしていない」ベネズエラ情勢受け

ベネズエラでは米国による制裁と軍事行動が続き、原油輸出が大幅に減少している。
2025年5月3日/メキシコ、中部テスココで開催されたイベント、シェインバウム大統領(ロイター通信)

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は7日、同国がベネズエラ情勢を受けてキューバへの原油輸送を増加させた事実はないと強調した。それによると、メキシコがキューバに供給している原油は、これまでの水準を超えるものではなく、既存の契約や人道支援の一環として提供されているという。

ベネズエラでは米国による制裁と軍事行動が続き、原油輸出が大幅に減少している。これに伴い、キューバはベネズエラに代わる原油供給源としてメキシコからの輸入依存度が高まっているとの指摘が出ているが、シェインバウム氏は「歴史的慣行に基づくものであり、特別な増加はない」と強調した。

シェインバウム氏は定例会見で、キューバへの原油供給について質問を受け、「過去に供給してきた分以上の量は送っていない」と述べた。さらに、これらの供給が行われるのは契約上の義務や人道的援助の一環であると説明し、仮に将来的に供給量が増える場合も既存の契約や歴史的な支援パターンに沿ったものになるとの見解を示した。

今回の発言は、英フィナンシャル・タイムズなどが報じた、メキシコが2025年にキューバへの原油供給でベネズエラを上回り主要供給国となったとの報道を受けたものだが、シェインバウム氏はこうした報道内容を否定している。メキシコ側は、これまでも複数の政権にわたり契約や人道支援の形でキューバに原油を供給してきたとして、その歴史を強調している。

背景には、米国がベネズエラ産原油の輸出を阻止する制裁を25年12月中旬から強化し、同国の輸出が滞っている影響がある。トランプ(Donald Trump)米大統領は制裁下にあるベネズエラの原油を米国内で精製・販売する計画を明らかにしており、地域のエネルギー供給構造に変化が生じている。

一方、メキシコのこの対応は、米国との関係性にも影響を及ぼす可能性が指摘されている。米国側には、同盟国がキューバへの原油供給でベネズエラの制裁回避を助長しているのではないかとの懸念がある。メキシコはこれに対し、自国の主権に基づくエネルギー政策として、国際法や既存契約に則って行動していると反論している。

また、メキシコ国内では原油供給の透明性確保を求めている声もある。シェインバウム氏は国営石油会社ぺメックス(PEMEX)による供給量や価格の詳細を公表する意向を示しており、今後データの透明化を進める姿勢を示している。その目的は、国内外からの批判に対し合法性と正当性を明らかにするためだとしている。

地域メディアや国際社会はベネズエラ情勢の変化がカリブ海地域のエネルギー供給に与える影響や、メキシコの外交・経済政策の行方を注視している。ベネズエラ、キューバ、メキシコ、米国という複数の国が絡むこの動きは、中米・カリブ海地域の政治・経済関係に広範な影響を及ぼす可能性があるとみられている。

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