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メキシコで米軍の動きに懸念広がる、米輸送機が駐機も

これは米国がベネズエラへの軍事攻撃を行った後、地域の安全保障環境が緊迫しているとの見方が広がっていることを背景にしている。
メキシコのシェインバウム大統領(左)とトランプ米大統領(Getty Images/AFP通信)

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は19日、米軍の動きが国内で懸念を呼んだことについて、国民の不安を和らげる発言を行った。これは米国がベネズエラへの軍事攻撃を行った後、地域の安全保障環境が緊迫しているとの見方が広がっていることを背景にしている。

米連邦航空局(FAA)は先週末、メキシコや中米、ラテンアメリカの一部上空を飛行する米国機に対して「軍事活動に注意するよう」呼びかける勧告を出した。この勧告はカリブ海地域における米軍の動きに関連したものであるとされるが、具体的な説明が乏しかったため、メキシコ国内で不安が広がった。

シェインバウム氏は定例会見でこの勧告を受け、メキシコ政府は数時間待って米政府から「書面による」確約を得たと説明した。その内容、メキシコ領空を米軍機が侵犯することはないというもので、米側は実施中の軍事活動に関する正確な情報も提供したという。これを受けてメキシコ当局は、FAAの勧告は自国の領空に関するものではないと公式声明で明らかにした。

続いて、首都メキシコシティ西方約60キロの空港に米軍輸送機が駐機している画像がSNS上に拡散し、これがさらなる波紋を呼んだ。野党はX(旧ツイッター)にこの画像と声明を投稿し、政府に説明を求めた。メキシコ憲法では、外国軍の国内活動や外国軍の受け入れには議会上院の承認が必要とされるためだ。

これに対しシェインバウム氏は、当該輸送機は「後方支援」の任務によるものであり、上院承認を要するような軍事展開ではないと説明した。具体的には、同機は米国での訓練に向けたもので、搭乗していたのは公務員であるため、国防相が承認したと明らかにした。大統領府の安全保障担当チームも、こうした訓練は既存の二国間協力協定に基づき、確立されたプロトコルに従って行われていると付け加えた。

これら一連の出来事は、今月初めの米国によるベネズエラ大統領拘束作戦が引き起こした地域の敏感な雰囲気を反映しているとみられる。またトランプ(Donald Trump)米大統領がメキシコ国内の麻薬カルテルに対して直接的な軍事措置を取る可能性を示唆したこともあり、メキシコ側では主権への配慮が強く求められている。

シェインバウム氏とトランプ氏は先週、この件について電話で協議し、治安問題での協力を続けることを確認したとしている。メキシコ政府は、領土の主権が侵されることは決して容認しない方針を堅持しつつ、麻薬カルテル対策や合成麻薬フェンタニルの流入阻止などの課題に対応するため、引き続き米国との取り組みを強化する意向を示している。

両国の安全保障当局は1月23日にも会談を予定しており、カルテル対策や武器流入の阻止を目的とする具体的な協力強化策について議論する見込みである。

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