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ロシア、キューバに2隻目の石油タンカー派遣へ、人道支援


キューバでは近年、慢性的な燃料不足が続き、特に2026年に入ってからは停電の頻発や輸送網の混乱が深刻化している。
2026年2月3日/キューバ、首都ハバナ郊外の民家(AP通信)

ロシアがエネルギー不足に直面するキューバへの支援を強化している。ロシア政府は2日、同国に向けて第2の原油タンカーを派遣する計画を明らかにした。背景には米国による燃料封鎖によって深刻化するエネルギー危機がある。

ロシアのツィビレフ(Sergey Tsivilev)エネルギー相は、タタールスタン共和国・カザンで開かれたエネルギー関連会合の場で、すでに1隻のタンカーがキューバに到着したことに続き、現在第2の船舶の積み込みが進められていると説明した。その上で「キューバは完全な封鎖状態にあるが、ロシアは支援を続ける」と述べ、同国を見捨てない姿勢を強調した。

今回の動きは数日前にロシア船籍のタンカーがキューバ中部マタンサスに到着したことを受けたものだ。このタンカーは約73万バレルの原油を積載しており、約3カ月ぶりの大規模な石油供給となった。専門家によると、この量はディーゼル燃料に換算して同国の需要を9〜10日程度賄える規模に相当する。

キューバでは近年、慢性的な燃料不足が続き、特に2026年に入ってからは停電の頻発や輸送網の混乱が深刻化している。キューバは自国内で必要とするエネルギーの約4割しか生産できず、残りを輸入に依存しているため、外部からの供給が滞ると社会全体に大きな影響が及ぶ構造となっている。

こうした状況の背景には、米国の対キューバ政策がある。米国は同国への圧力を強め、ベネズエラなどからの石油供給を遮断するとともに、他国に対してもキューバへの石油輸出を控えるよう求めてきた。その結果、島国であるキューバは燃料確保が困難となり、経済危機が一層深刻化している。

一方で、米国は今回のロシアからの石油輸送について、人道的観点から個別に容認する姿勢も示している。ただし、全面的な制裁緩和には踏み込んでおらず、今後の輸送についてはケースごとに判断する方針だ。

ロシア側はこれらの輸送を「人道支援」と位置付け、エネルギー不足に苦しむキューバへの連帯を強調している。冷戦期から続く両国の関係を背景に、ロシアは中南米における影響力維持の観点からも支援を継続する構えとみられる。

今回の第2タンカー派遣計画は単なるエネルギー支援にとどまらず、米国とロシアの地政学的対立の一端を映し出す動きでもある。キューバをめぐるエネルギー供給問題は経済危機と国際政治が交錯する象徴的な事例となっており、今後の供給の行方や各国の対応が注目される。

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