◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
中米ハイチのギャングが19日、新たな攻撃を開始し、首都ポルトープランス近郊の高級住宅街に攻め込んだ。
現地メディアによると、同国最大の武装ギャング「G9&Family」の指導者である元警察官の通称「バーベキュー」ことシェリジエ(Jimmy "Barbecue" Cherizier)が攻撃を主導しているという。
シェリジエはSNSに動画を投稿。複数の同盟組織で構成されるギャング連合軍が攻撃を開始したと主張した。
国家警察の報道官によると、治安部隊との銃撃戦で少なくとも28人のギャングが死亡、数百の武器が押収されたという。
シェリジエは警察の発表に関するコメントを出していない。一部の地元メディアはギャング連合軍の小隊が敗走したと報じているが、詳細は不明だ。
AP通信は関係者の話しとして、「地元住民はギャングの攻撃に憤慨し、自警団に警備を依頼していた」と伝えている。
それによると、現場にはギャングの遺体が積み上げられ、その多くが首や四肢を切り落とされていたという。
ギャングは夜明け前に高級住宅街に侵入。攻撃を開始したとされる。ギャングは住宅街に通じる道路にトラックを止め、治安部隊の立ち入りを妨害したという。
ジェリジエは今週初め、この住宅街に政治家を含む市民が避難しているとして、ホテル経営者や富裕層への攻撃を予告していた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は先月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
暫定大統領評議会は先週、コニーユ(Garry Conille)首相を突然解任し、フィスエイム(Alix Didier Fils-Aimé)氏を後任に指名した。解任の理由は明らかにしていない。
ジェリジエは暫定大統領評議会の委員9人に辞任を要求し、応じない場合は「必要な措置を取る」と警告していた。