メキシコ25年10月送金額、7か月連続で減少、前年比1.7%減
この送金減少は近年の送金拡大傾向からの明確な転換を示す。
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メキシコが2025年10月に受け取った送金(レミッタンス)が前年同期比で1.7%減少し、56.4億ドルとなった。メキシコ中央銀行が12月1日、明らかにした。送金額の減少は7か月連続、メキシコにとって重要な外貨収入源の減少傾向が改めて浮き彫りとなった。
10月の送金総額は14百万件の送金取引によって構成され、1件あたりの平均送金額は403ドルであった。取引件数そのものは前年同月比で5.4%減少したが、平均額は4.0%上昇した。
中銀のデータによると、今年1月から10月までにメキシコが受け取った送金総額は513.4億ドルで、前年同期比で5.1%減となった。
この送金減少は近年の送金拡大傾向からの明確な転換を示す。かつてメキシコは、国外に住む多くの出稼ぎメキシコ人が故国の家族に送金することで、送金収入を支えてきた。だが、今回のような減少が続く背景には、送金を行う主な送金元である外国、特に米国の経済状況や移民政策の影響があるとみられる。
なお、今回の減少幅は直近の月では最も小さく、一部では「減少ペースの鈍化」とも受け止められている。
しかしながら、中銀と経済アナリストらは今回のデータに対して警戒感を示しており、送金収入の低下が続けば、メキシコ国内の家計や地方経済、さらには外貨準備や対外収支にも影響が及ぶ可能性があるとしている。特に、送金に依存する農村地域や低所得層では、家計の収入源喪失が生活への打撃となるおそれがある。
一方で、平均送金額の上昇は、少数だが比較的大きな金額を送る層が減少後も送金を継続していることを示しており、送金形態の変化や所得層の移動を示唆している。
今後の傾向としては、米国の雇用状況、移民規制や賃金水準、為替レート、送金サービスの利用状況などが、メキシコへの送金の行方を左右する重要な要因となる。
中銀の報告を受け、メキシコ政府および金融当局は送金減少が経済にもたらす影響を注視しつつ、経済の多様化、家計支援、雇用創出などを通じた対応が求められている。
