汎米保健機構「アメリカ大陸で麻しん(はしか)感染者急増」警報発令
麻しんは極めて感染力が強く、特にワクチン未接種者や1歳未満の乳児に重症化リスクが高い。
ワクチン接種(AP通信).jpg)
世界保健機関(WHO)の米州事務局である汎米保健機構(PAHO)は4日、アメリカ大陸で麻しん(はしか)患者が急増していることを受け、新たな疫学的警報を発出した。これに伴い、加盟国に対して感染監視の強化とワクチン接種の大規模な実施を求めている。
警報によると、先月の最初の3週間で、7カ国・地域で計1031人の麻しん症例が確認された。これは前年同時期の23人から約43倍に増加した数値で、感染の広がりが続いていることを示している。地域別ではメキシコが740人で最も多く、米国が171人、カナダが67人と報告されている。いずれの国でも昨年から流行が拡大し、特にメキシコ中西部ハリスコ州や米南部サウスカロライナ州での感染が顕著だ。
PAHOは麻しんの感染拡大について、ワクチン接種率の低迷による免疫の低下・欠如が主因であると指摘している。麻しん、風疹、おたふく風邪の3種混合ワクチン(MMR)の接種は初回および追加接種ともに、予防に必要とされる95%の目標に達している国は極めて少ない。地域全体では1回目の接種95%以上に達成している国は全体の約3分の1、2回目は約5分の1にとどまる。これにより、多くの地域で集団免疫が不十分となり、感染が拡大している。
麻しんは極めて感染力が強く、特にワクチン未接種者や1歳未満の乳児に重症化リスクが高い。PAHOのデータでは、報告された症例のうち78%が未接種者、11%が接種状況不明であることが確認されている。高い感染率は地域全体の免疫の欠如を反映するものだとして、接種活動の強化が喫緊の課題とされている。
PAHOは加盟国政府に対し、定期的なワクチン接種の推進に加えて、流行地域での追加免疫活動、迅速な症例発見、検査体制の強化、報告・追跡の迅速化を強く要請している。また、検疫や感染監視の能力を高め、疑わしい症例に即時対応できる体制整備を進めることも求めている。特に乳幼児や若年層で感染者数が高く、地域の医療体制や保健サービスへの負荷が懸念されている。
今回の警報は2025年を通じた麻しんの再流行傾向を反映したもので、大陸レベルで2010年代以来最悪規模の感染拡大が続いているとの見方も出ている。PAHOは今後の感染状況を継続的に監視し、必要に応じて勧告内容を更新するとしている。
国際的な麻しん対策の専門家は、ワクチン接種率の向上が地域の流行抑制に不可欠であり、パンデミック後に低下した予防接種の回復が急務だと指摘している。
