◎モナ島はドミニカ共和国とプエルトリコの間のモナ海峡に位置し、野生動物の宝庫として知られている。
米領プエルトリコ当局は18日、何者かが近海の無人島に亡命希望者とみられる100人以上を置き去りにしたと発表した。
プエルトリコの沿岸警備隊の報道官はSNSに声明を投稿。警備隊は本島の西約87kmの地点に位置する「モナ島」に上陸し、聞き取り調査を行っているという。
人々の国籍は明らかになっていないが、警備隊は大半がハイチ人と考えているようだ。
プエルトリコ政府の報道官によると、保護されたのは5歳~13歳の子供5人、妊婦3人を含む女性60人、男性38人。妊婦の体調は良好だという。
モナ島はドミニカ共和国とプエルトリコの間のモナ海峡に位置し、野生動物の宝庫として知られている。
警備隊によると、この島はハイチとドミニカに拠点を置く人身売買組織の休憩所になっているという。
プエルトリコ沖ではこの数カ月、ハイチから脱出を試みた亡命希望者数十人が死亡している。
当局は7月下旬、モナ島周辺の海域でハイチ人68人を救助した。当局は少なくとも5人が溺死したとみている。遺体は見つかっていない。
AP通信は当局者の話を引用し、「人身売買組織は命を軽視し、金になるという理由だけでボートに移民を詰め込み、目的地(米国)にたどり着けないことが分かると、人々を無人島に置き去りにする」と報じている。
米政府によると、2021年10月から今年3月にかけて、プエルトリコと米領バージン諸島の周辺海域で、ハイチ人571人とドミニカ人252人が救助された。ハイチ人571人のうち348人はモナ島で見つかった。
多くのハイチ人が米国への亡命を希望している。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは3カ月ほど前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって戦闘を繰り広げているとみられ、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで500人を超え、数万人が国内避難民となった。
またポルトープランスではアンリ(Ariel Henry)首相に辞任を要求する抗議デモも続いている。デモ隊は燃料補助金の廃止を決めたアンリ氏の辞任と暴力の終結を求めている。
ハイチの主要燃料ターミナルはギャングの支配下に置かれ、市内のガソリンスタンドは空になり、医療機関は閉鎖を余儀なくされ、一部地域ではコレラが蔓延し始めている。
国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は17日、「ハイチに平和維持軍を派遣する必要がある」と国際社会に呼びかけた。