米領プエルトリコで電力料金値上げ案の公聴会、顧客の怒りと停電続く中
この公聴会は先月中旬に始まり年末まで続く予定。発電から送電・配電までを担う民間会社ルマ・エナジーの申請を対象にしている。
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米領プエルトリコでは現在、民間電力会社による電気料金改定の申請を巡り、重要な公聴会が開かれている。もし申請が認められれば、同地域の一般家庭向け電気料金は平均で少なくとも4割上昇する見込みであり、多くの住民の反発を招いている。
この公聴会は先月中旬に始まり年末まで続く予定。発電から送電・配電までを担う民間会社ルマ・エナジーの申請を対象にしている。
現在の月額基本料金(固定料金)は約4ドルだが、申請通りなら来年1月から15ドルに引き上げられる見通し。さらに、全体の料金体制が見直されれば、請求額のベースが月額で40ドル以上になる可能性もあるという。
住民側および消費者団体はこの大幅な値上げ提案に強く反発している。特に低所得者層や高齢者への負担増を懸念する声が多く、「島の家庭や家族にとって経済的打撃だ」と批判する。
また、固定料金の引き上げは太陽光発電など再生可能エネルギーへの転換インセンティブを弱めるとの指摘もある。
値上げ申請がなされる背景にはプエルトリコの電力網の老朽化がある。特に2017年のハリケーンで甚大な被害を受けた送電網は脆弱で、近年も頻繁な停電や大規模なブラックアウトが続いており、電力会社側は送配電網の近代化のための資金確保を求めている。
ただし、値上げで得られる収入が必ずしもその改善に回されるかは不透明だとの批判もある。現在、プエルトリコ政府はルマ・エナジーとの契約解除を公約しており、年内にもその手続きを開始する方針だという。
後任の電力供給者として、米本土の別企業への移行交渉も進んでいるが、契約解除後も最長で1年間はルマがサービス提供を続けなければならず、電力料金と供給の安定性をめぐる混乱が続く可能性がある。
このような状況下で、プエルトリコでは「高すぎる電気料金」「頻発する停電」「不足する再生可能エネルギーへの移行」など、電力を巡る問題が住民生活に深刻な影を落としている。
もし今回の値上げが承認されれば、特に貧困層や社会的に弱い立場の人々にとって大きな負担となるだろう。政府および電力会社が示す「電力網の改善」が本当に実現されるか、そしてその恩恵が公平に分配されるか、今後の議論と透明性が求められている。
