米領プエルトリコ知事、胎児を人間と認める法案に署名
この改正は刑法の一部を改正するもので、「胎児の死」を殺人に含めるものである。
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米領プエルトリコのゴンザレス(Jenniffer González)知事は12日、胎児を「人間」として法的に認める法改正案に署名した。この改正は刑法の一部を改正するもので、「胎児の死」を殺人に含めるものである。法案は議会を通過、公開の公聴会を経ずに成立したことから、医療関係者や法学者、女性の権利擁護団体らが強く反発している。
この法改正は妊娠中の女性が何らかの暴力行為によって死亡した場合、胎児の死も殺人として扱われるよう刑法の条文を変更するもので、政府は民事と刑事の規定を整合させる目的があると説明している。改正は2021年に妊娠中に殺害された女性の名を冠した既存法の補完とされ、胎児が意図的に死亡させられた場合の処罰を明確にする意図があるとしている。
しかし医療界からは重大な懸念が出ている。プエルトリコ医科外科医師会は、新法により臨床上の複雑な判断が刑事法の領域に入り込むと警告する。複雑な妊娠ケースでは民間医が診療を拒否する可能性が高まり、結果として米本土や大規模公立病院での出産が増えるとの見解を示した。また、新法によって医師と妊婦の間に第三者が介入することが可能となり、患者のプライバシーが侵害される恐れがあるとして、医療制度はこの変化に対応できていないと指摘している。
批判者たちは、今回の改正が将来的に中絶の刑事化につながる可能性を強く懸念している。プエルトリコでは現在も中絶は合法だが、「受精卵に法的人格が与えられた」とする見方が広がり、人権団体は「女性の権利が奪われた」と非難している。胎児が健康保険の権利を持つのか、流産した女性が殺人の容疑者として扱われるのかといった点は不透明で、改正後の法的な扱いについて多くの疑問が残るとの意見が出ている。
米自由人権協会(ACLU)のプエルトリコ支部も「刑法に関わる重大な改正でありながら、十分な審議が行われなかった」と批判し、法改正が市民権への曖昧な空間を生み出すとして、立法過程の欠陥を強調した。
支持者側は妊娠中の女性に対する暴力に関して刑事責任を明確にする意義を主張しているが、反対派は法改正が医療の現場や女性の自由に重大な影響を与える点を強調している。医療専門家らは具体的な運用や医療現場への影響についてのガイドラインが欠如しているとして、今後の混乱が懸念されると述べている。
この法改正は米国本土でも物議を醸す可能性があり、胎児の法的人格を巡る議論が一段と激化することが予想される。中絶の権利や妊婦の治療選択に関して法的な見直しが進む中、プエルトリコの今回の措置が他地域に与える影響にも注目が集まっている。
