ホンジュラス大統領選、暴動で再集計進まず、混乱拡大
選挙を運営する国立選挙評議会(CNE)は再集計の現場となっている投票用紙保管施設周辺での暴動が「再集計に必要な条件を阻んでいる」と非難した。
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ホンジュラスの首都テグシガルパで先月末に実施された大統領選挙の特別再集計が暴動により開始できない事態となり、選挙をめぐる混乱が深刻化している。
選挙を運営する国立選挙評議会(CNE)は再集計の現場となっている投票用紙保管施設周辺での暴動が「再集計に必要な条件を阻んでいる」と非難した。抗議には与党・自由復興党(LIBRE)の支持者数百人が参加した。
今回の再集計は集計表の約15%に不整合が認められたとして、それらを対象に手作業での再確認を行うために予定されていたものである。しかし、CNE議長はX(旧ツイッター)への投稿で抗議が継続しているため、作業開始が遅れていると説明した。
対象となる不整合票は数十万票にのぼり、再集計の結果次第ではトランプ(Donald Trump)米大統領の支持を受ける右派の国民党アスフラ(Nasry Asfura)氏と中道のナスララ(Salvador Nasralla)氏との僅差の争いに影響を及ぼす可能性があるとして注目されている。
この暴動は選挙結果への不満と透明性を求める動きの一環として発生したもので、元大統領がLIBRE支持者に対し、全票の再集計を要求するデモへの参加を呼びかけたと報じられている。
選挙当日は比較的平穏だったものの、集計作業が進むにつれて混乱と不信が広がった。投票集計システムの技術的問題や政治的対立が背景にあり、投開票後2週間以上を経ても結果が確定していない。
選管のデータではアスフラ氏が40.54%、ナスララ氏が39.19%の支持を得ており、その差は約4万3000票となっている。一方、LIBREのリキシ・モンカダ(Rixi Moncada)前国防相は19.29%で3位、逆転の可能性はゼロに近い。
ホンジュラスの選挙混乱には政党間の対立に加えて国外の政治的影響も絡んでいる。アスフラ氏はトランプ氏から支持を受け、トランプ氏は選挙結果に疑念を示す発言とともにホンジュラスへの資金援助停止を示唆するなど介入とも受け取れる発言を行っている。これに対し反対勢力は不正の存在を訴え、選挙全体の信頼性に疑問を投げかけている。
ホンジュラス議会内でも選挙結果の承認をめぐり与野党間で激しい議論が続いている。議会委員会は一時、選挙結果承認を拒否する意向を示し、トランプ政権の関与を「選挙クーデター」と非難する動きもあった。こうした政治的な混迷がさらに抗議活動を助長しているとの見方がある。
国際社会からは選挙の透明性と平和的解決を求める声が出ており、米国や地域の観察団体は最終結果発表までの過程での公正性を強調している。国際機関はホンジュラス当局に対し、混乱の収拾と円滑な再集計の実施を呼びかけているが、現時点で具体的な日程は確定していない。結果の公式確定期限は12月30日とされており、政治的、社会的な緊張は依然として高いままである。
