メキシコ各地で2014年の「学生失踪事件」に抗議するデモ
2014年9月26日、南部ゲレロ州で地元の教員養成学校に通う学生43人が行方不明になる事件が発生した。
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メキシコの首都メキシコシティで25日、2014年9月に発生した学生失踪事件に抗議するデモが暴動に発展し、軍事基地の門にトラックが突っ込んだ。負傷者の情報はない。
2014年9月26日、南部ゲレロ州で地元の教員養成学校に通う学生43人が行方不明になる事件が発生した。この事件は「アヨチナパ学生失踪事件」として国際的に注目を集めた。事件当日、学生たちは学校主催のデモや資金集めの活動に向かうためにバスで移動していたが、途中で地元警察に阻止、拉致された。学生たちは消息を絶ち、バスや遺体の大部分は発見されていない。
事件の背景には、長年にわたる麻薬組織の勢力争いや、地方政府と犯罪組織の癒着があるとされる。報道や捜査によると、地元警察は学生を麻薬カルテルに引き渡し、カルテルが学生を殺害した可能性がある。政府は事件直後に捜査を開始したが、捜査の過程で証拠の隠蔽や情報操作、関係者の証言の矛盾が指摘され、事件解明は大きく遅れた。さらに、事件はメキシコ社会の司法制度や治安維持体制の脆弱性を露呈するものとなった。
事件は国内外で大規模な抗議活動を引き起こした。国内では「生きたまま連れ去られたのなら、生きて返せ」というスローガンが広まり、全国で学生や市民によるデモが行われた。また、国際社会も事件に注目し、人権団体や国連が独立調査や真相解明の必要性を訴えた。
事件から10年以上が経過した現在も、学生たちの行方は確認されておらず、一部の遺体や断片的な証拠のみが発見されている。真相も完全には解明されておらず、事件はメキシコにおける人権問題や治安の課題を象徴する事案として記憶されている。社会的な衝撃は大きく、学生の親族や支援者による真相究明の運動が続いている。
現地メディアによると、事件発生から11年となる26日にも全国各地で抗議デモが予定されている。
この事件に関する裁判は停滞し、まだ誰も有罪判決を受けていない。
ゲレロ州でも25日、犠牲者に哀悼の意を表する集会が開かれ、親族を含む数百人が軍事基地前でデモを行った。