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キューバ中部で暴動、市民が共産党事務所を襲撃、大規模停電に抗議


共産党は秩序の回復を強調する一方、深刻化するエネルギー不足と経済危機への対応が求められている。
2026年3月13日/キューバ、首都ハバナの通り(AP通信)

中米キューバで大規模停電への不満が高まる中、抗議者が共産党事務所を襲撃する騒動が発生した。現地メディアが14日に報じた。反政府的な暴動は同国ではまれで、深刻化する電力不足と生活苦を背景に市民の不満が表面化した形だ。

事件は14日未明、中部シエゴ・デ・アビラ州で起きた。国営メディアによると、停電や食料不足に抗議する集会が13日夜に始まり、当初は平和的なデモだったが、時間がたつにつれて一部の参加者が暴徒化し、地元の共産党事務所を襲撃した。参加者らは建物の窓ガラスを割り、内部を破壊したほか、家具などを外に運び出して火を付けるなどの行為に及んだとされる。

X(旧ツイッター)に投稿された動画には、建物付近で大きな火が上がり、人々が石を投げながら「馬鹿野郎」「キューバ万歳」などと叫ぶ様子が映っていた。警察は事態の鎮静化に乗り出し、少なくとも5人が逮捕された。

この暴動の背景には全国で続く深刻な電力危機がある。近年、燃料不足や発電設備の老朽化などにより全国的に停電が頻発し、地域によっては1日に10数時間の停電が発生することもある。こうした状況は食料供給や医療、交通など生活のあらゆる面に影響を及ぼしている。

共産党は電力不足の主な原因として、米国による長年の経済制裁や最近の石油供給の停止を挙げている。政府によると、燃料の輸入が滞ったことで発電所の稼働が制限され、停電が常態化しているという。一方、国内では経済政策やインフラ管理の失敗が危機を招いたとの批判も出ている。

今回の暴動はキューバで増えつつある抗議デモの延長線上にあるとみられている。2024年以降、食料不足やインフレ、停電などに対する抗議が各地で何度か確認され、2026年に入ってからも夜間に鍋やフライパンを打ち鳴らして停電に抗議する「カセロラソ(Cacerolazo)」と呼ばれるデモが続いている。

ただし、キューバでは政治的な抗議活動は依然として厳しく制限されており、大規模な暴動は珍しい。2021年には全国規模の反政府デモが発生し、多数の逮捕者が出るなど政府による強い取り締まりが行われた。

今回の事件を受け、内務省は破壊行為に関する捜査を開始した。共産党は秩序の回復を強調する一方、深刻化するエネルギー不足と経済危機への対応が求められている。長引く停電や生活苦に対する国民の不満は依然として強く、今後も社会不安が続く可能性がある。

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