◎国連は奴隷貿易を「極悪犯罪」「人類の汚点」と呼んでいる。
2022年3月23日/ジャマイカ、首都キングストン、ケンブリッジ公爵夫妻とジャマイカ総督夫妻(Royal-Portraits-Gallery-Digital-paints/crystal-lense)

イギリスのウィリアム王子は23日、訪問先のジャマイカで奴隷制度に対する「深い悲しみ」を表明したが、大英帝国の奴隷制度・貿易に対し賠償と謝罪を求めている抗議団体の訴えには触れなかった。

ウィリアム王子は首都キングストンで開かれた夕食会で演説し、大英帝国が推進した奴隷制度を厳しく非難した。

チャールズ皇太子も昨年11月に英連邦王国から離脱し共和制に移行したバルバドスを訪問した際、奴隷貿易を「ぞっとするような残虐行為」と表現していた。

ウィリアム王子は演説の中で、「私は深い悲しみを表明したい。奴隷制度は忌まわしいものであり、決して起こってはならないことでした」と述べた。

ケンブリッジ公爵夫妻は中米歴訪ツアーの真っ最中で、次はバハマを訪問する予定である。

この旅行はエリザベス女王が戴冠70周年を迎えるにあたり、イギリスと英連邦諸国の結びつきを強化するために企画された。しかし、ジャマイカのホルネス首相は23日、同国は連邦との関係を断ち切り、完全に独立する(共和制に移行する)つもりであると発表した。

エリザベス女王は今もジャマイカを含む大英帝国の旧植民地13カ国の国家元首である。

大英帝国は300年以上にわたってジャマイカを支配し、何十万ものアフリカ人奴隷に残酷な条件下での労働を強制した。

ウィリアム王子は25日の「奴隷および大西洋間奴隷貿易犠牲者 追悼国際デー」について、「反省を提供する場」と述べている。

国連は奴隷貿易を「極悪犯罪」「人類の汚点」と呼んでいる。

ジャマイカの人権活動団体の連合体であるアドボケイツ・ネットワークはウィリアム王子のコメントを拒否し、「コメントは私たちが求めている謝罪には当たらない」と述べた。「王子のコメントは奴隷制度は忌まわしいものであったと認めたに過ぎません。謝って済む問題ではないのです。コメントには何の責任もありません。何世紀にもわたるイギリスの血なまぐさい征服、略奪、搾取を認め、公式の謝罪と補償を提供しなければ意味がありません」

またアドボケイツ・ネットワークはウィリアム王子のコメントを「空虚な言葉」と呼び、正式な謝罪のレベルには達していないと非難した。「王子の言葉は今日のジャマイカ人の苦境に対する王室の無神経さを裏付けるものでしかないのです」

ジャマイカの一部の抗議者は王室カップルの旅行に強く抗議しており、22日には英国高等弁務官事務所前で数十人が拳を振り上げた。

抗議者たちは「ごめんなさいと言え!」「今すぐお詫びします!」などと書かれたTシャツを着用し、イギリスに抗議した。

抗議に参加したある少女は、「王、女王、王女、王子はおとぎ話の中にいるべきです。ジャマイカには必要ありません!」と書かれた紙を掲げ抗議した。

王室カップルはカリブ海陸軍士官学校の創設記念パレードに出席した後、バハマに向け出発した。

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