◎SNSで共有された動画にはギャングの戦闘員とみられる男たちが空に向かって自動小銃を乱射し、この地域を支配したと宣言。「従わない者は灰燼に帰す」と警告した。
中米ハイチの国家警察は21日、首都ポルトープランスでギャングに支配されていない数少ないコミュニティを占拠しようとする武装ギャング連合と衝突した。
この地域は17日から攻撃を受け、多くの市民がラジオ局に救援要請を送っていた。
地元ラジオ局は17日遅くにポルトープランスの複数の地区にギャングが押し寄せ、銃撃戦を繰り広げていると報じていた。
警察は20日遅くの声明で、「機動隊をこの地域に派遣し、防衛線を構築。ギャング戦闘員を追撃している」と述べた。
SNSで共有された動画にはギャングの戦闘員とみられる男たちが空に向かって自動小銃を乱射し、この地域を支配したと宣言。「従わない者は灰燼に帰す」と警告した。
コニーユ(Garry Conille)首相は21日に緊急閣議を開き、ギャング討伐戦について協議した。
その後、コニーユ氏はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「他の地域に配備しているエリート部隊や数百人の警察官らをポルトープランスに呼び戻し、襲撃を受けている地域に再配置する」と発表した。
またコニーユ氏は「市民の命と安全を諦めるなど絶対にあり得ない」と強調した。
国際移住機関(IOM)が21日に公表したレポートによると、複数のギャングによる連合は17日以降の攻撃で複数の地区を制圧。この影響で4200人以上の市民が避難を余儀なくされたという。
この連合は昨年9月に結成され、ポルトープランスに拠点を置くほぼすべてのギャングが加盟したとされる。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ギャング暴力により住居を失った数十万人が国外に逃亡。残った人々はその場しのぎの避難所やシェルターに移り住み、国連やNGOの支援を受けて何とか生活している。