ハイチのベリゼール元議員逮捕、テロ関連容疑、追跡劇に幕
治安悪化が深刻化する同国で、政治家と武装ギャングの関係が改めて注目される事件となっている。
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カリブ海の島国ハイチで元議員のアルネル・ベリゼール(Arnel Belizaire)容疑者がテロ資金供与などの容疑で警察に逮捕された。現地メディアが16日に報じた。治安悪化が深刻化する同国で、政治家と武装ギャングの関係が改めて注目される事件となっている。
国家警察は16日、ベリゼール容疑者を逮捕したと発表した。容疑はテロ資金供与のほか、国家の安全に対する陰謀などで、当局は数カ月前から容疑者を追っていたという。警察の発表により、長く続いていた追跡が終結した形だ。
ベリゼール容疑者は逮捕状について「政治的な威圧だ」と主張し、容疑を否認している。現時点で弁護士がついているかどうかは明らかになっていない。逮捕の直前には新たな政党を登録し、今後予定される総選挙に向けて活動を始めていたとされる。
今回の逮捕はハイチの政治と犯罪組織の関係に対する疑念が高まる中で起きた。首都ポルトープランスとその周辺地域では武装ギャングが勢力を拡大し、推計で市内の約90%が組織の影響下にあるとされる。これらのギャングの一部は政治家や経済関係者から資金や支援を受けているとの疑いが長年指摘されてきた。
ベリゼール容疑者は過去にも複数の事件で逮捕歴がある。2000年代初頭には違法武器所持で有罪判決を受け服役したが、その後脱走した経歴を持つ。再び拘束されたものの、2010年の大地震の混乱の中で再度逃亡した。
その後、2011年には国会議員に選出された。しかし、地震後の脱走が問題視され再び逮捕されたものの、政治的圧力を背景に釈放された。また数年前には武器密売の疑いでも拘束されたが、このときの起訴は最終的に取り下げられた。
さらに2025年には米国政府が同容疑者を「重大な汚職に関与した」として制裁対象に指定し、本人と家族の入国を禁止した。こうした経緯から、国内外で同氏の政治活動に対する批判が続いていた。
ハイチでは近年、国家機能の弱体化とギャングの勢力拡大が深刻な社会問題となっている。政府・警察は国際支援を受けながら治安回復を目指しているが、政治家や経済関係者が犯罪組織と結びついているとの疑惑が絶えず、統治の信頼性が揺らいでいる。
今回の事件は政治とギャング犯罪の関係を巡る疑念を改めて浮き彫りにした。捜査当局は今後、資金の流れや組織的関与の有無を調べる方針で、事件の進展がハイチの政界と治安情勢にどのような影響を与えるか注目されている。
