SHARE:

グアテマラ非常事態宣言、治安部隊のギャング対策強化、取り締まり始まる

これは、首都グアテマラシティ北部のギャング勢力を中心に治安部隊への攻撃が相次いだことを受けたもので、警察当局は最大勢力の「バリオ18」や「マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)」と正面から対峙する方針を強めている。
2026年1月20日/グアテマラ、首都グアテマラシティのサッカー場(AP通信)

グアテマラ政府は今週、ギャング暴力への対処として国家非常事態を宣言し、警察と軍に付与された新たな権限を行使し始めた。これは、首都グアテマラシティ北部のギャング勢力を中心に治安部隊への攻撃が相次いだことを受けたもので、警察当局は最大勢力の「バリオ18」や「マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)」と正面から対峙する方針を強めている。

非常事態宣言は議会の圧倒的な賛成で承認され、30日間の効力を有する。これにより一部の移動と集会の権利が制限され、裁判官の逮捕令状なしにギャング活動の疑いがある者を拘束することが可能になった。また、治安部隊はギャング支配地域での身元確認や武器検査を強化するなど、従来より強権的な取り締まりを実施している。

治安当局はギャング構成員とみられる者による警察官殺害事件が相次ぎ、これが非常事態宣言の直接的な契機になったと説明している。バリオ18関連の複数の事件では、拘束中の看守を人質に取るために刑務所内で暴動が発生し、翌日以降に首都周辺で警察部隊が襲撃され、これまでに10人以上の警察官が死亡、多数が負傷している。

新たな措置の対象となっているのは、特に治安が悪化している「ゾーン18」と呼ばれる地域である。この地区は24の地区の中でも殺人件数が最も多く、ギャングの勢力が強いとされている。治安部隊は狭い路地を巡回し、通行人に身分証明書の提示を求め、武器保持の可能性がある者には身体検査を行っている。

国家警察の報道官は21日、「非常事態はバリオ18およびMS-13という犯罪組織と正面から対峙することに焦点を当てている」と述べ、政府がギャング壊滅を目指す姿勢を改めて示した。

しかし、地域住民の中には治安部隊の強硬な行動に不安を抱く声もある。ゾーン18在住のある女性はこの地域が危険であることを認めつつ、「ここに住んでいるというだけでギャングの一味だと思われてしまう」と、住民が社会的なスティグマ(烙印)に苦しんでいる実情を語った。

専門家は、グアテマラのギャング問題は長年にわたり治安と社会構造に深刻な影響をもたらしてきたと指摘する。バリオ18やMS-13といったギャングは子どもを勧誘し、企業や住民から金を巻き上げ、内部抗争や対立勢力に対する殺害行為を繰り返してきた。その暴力は都市部だけでなく郊外のコミュニティにも広がり、多くの市民が安全を脅かされている。

政府は非常事態による強権措置を講じる一方で、人権団体などからの懸念にも直面している。隣国エルサルバドルでは類似の非常事態措置が数年にわたって行われ、多数の容疑者拘束によるギャング勢力の壊滅を目指したが、国際社会からは「正当な法的手続きを欠く」との批判が出ている。グアテマラでも同様の問題が浮上する可能性があり、政府は治安維持と基本的人権のバランスをどう取るかという課題に直面している。

今回の措置は激化するギャング暴力に対して政府が強硬な姿勢で臨む一環であり、その成果と影響は今後数週間から数カ月のうちに明らかになるとみられる。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします