パナマで年金改革に抗議するデモ続く、大統領が労組に提案

デモ隊はムリノ政権が年金制度を一方的に見直したとして、撤回を求めている。
2025年6月6日/パナマ、首都パナマシティ、機動隊に向けて石を投げる抗議者(AP通信)

中米パナマのムリノ(José Raúl Mulino)大統領は6日、2ヶ月近くに及ぶ抗議デモが国を揺るがす中、ストライキ中のバナナ農園労働者にメッセージを伝えるため、司教とラビを招いて神に祈りを捧げた。

デモ隊はムリノ政権が年金制度を一方的に見直したとして、撤回を求めている。

ムリノ氏は年金改革を推進すると誓い、裁判所は進行中のストを違法と判断した。

しかし、ストと抗議デモは止まらず、激化しているように見える。

西部ボカス・デル・トロ州では先月、米バナナ大手チキータ・ブランドの子会社がストに参加した約5000人の労働者を解雇した。

ムリノ氏は声明で、抗議デモとストを終了するのであれば、労働者にとって有利な法案を議会に提出すると表明した。

バナナ産業労働者組合の書記長は6日、ムリノ氏の声明に先立ち、「労組は対話にオープンである」と述べていた。

労組の指導部は9日に首都パナマシティで議会議長と会談し、要求リストを提出する予定である。労組は年金改革の変更を強く求めてきた。

ボカス・デル・トロ州のストを率いてきた労組の委員長はSNSに、「3月に成立した年金改革が別の法律で定められたバナナ労働者の特別待遇(補助金や残業免除など)を脅かすと指摘してきた。

労働者らは年金改革に抗議して4月末にストを開始。以後約1か月以上にわたって生産が停止した。

ボカス・デル・トロ州ではデモによる道路封鎖や製品不足が生じ、経済損失は7500万ドル(約108億円)以上と推定されている。

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