◎昨年ダリエンを通過した移民は52万人超。22年の2倍以上に急増し、過去最高を更新した。
パナマとコロンビアの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡(Darien Gap)」を通過する移民の数が今月、大幅に減少した。パナマ国境警備隊が17日、明らかにした。
それによると、ムリノ(José Raúl Mulino)大統領が今月1日に就任して以来、ダリエンを通過する移民の数は大幅に減少したという。
昨年ダリエンを通過した移民は52万人超。22年の2倍以上に急増し、過去最高を更新した。
そこを通過した移民は他の中米諸国とメキシコを巻き込んで米南部国境を目指す。米当局が昨年拘束した移民は250万人に達した。
当局によると、今年ダリエンを通過した移民や約21万2000人。そのほとんどがベネズエラ、エクアドル、コロンビア、中国人で、7月1日以降は約1万1000人となっている。
これは昨年に比べると少ないが、それでも22年を大幅に上回っている。
国境警備隊の局長は声明で、「ムリノ政権はダリエンに続く5つの小道に全長5キロ超の有刺鉄線を設置し、移民の侵入を阻止している」と明らかにした。
また局長は「政府が不法移民の積極的な取り締まりを約束し、さらに米国を含む周辺国と連携して対策を強化すると表明した結果、移民の減少につながった」という見方を示した。
ムリノ氏はダリエンを通過する不法移民の阻止を公約に掲げて就任した。
米政府は南部テキサス州などの国境に到着した移民を強制送還する便の費用を負担することで同意したが、便の運用はまだ始まっていない。
パナマ政府の取り締まりはこの地域の移民事情に大きな変化をもたらす可能性がある。
専門家によると、米国への移住を希望する中南米の移民の1~2割がダリエンを通過。ダリエンの取り締まり強化を受け、その多くが別のルートを選択することになる。
米税関・国境警備局(CBP)は15日、メキシコ国境における先月の移民検挙件数が5月から29%減少し、バイデン(Joe Biden)大統領の就任以来、最も少なくなったと報告した。
それによると、6月の検挙数は8万3536件。5月の11万7901件から29%減となり、2021年1月以来、最も少なくなったという。