パナマ政府、ベネズエラへの直行便で移民送還へ、自発的帰還プログラム
この直行便には70人のベネズエラ人が搭乗する予定で、これまでのようにコロンビアでの中継を経ずに直接帰還できるようになる。
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中米パナマのムリノ(José Raúl Mulino)大統領は18日、移民の「自発的帰還プログラム」に基づき、ベネズエラ・カラカスへの初の直行便を来週運航すると発表した。
この直行便には70人のベネズエラ人が搭乗する予定で、これまでのようにコロンビアでの中継を経ずに直接帰還できるようになる。ムリノ氏が記者会見で明らかにした。
パナマ政府はこれまで、南米から北米に向かう移民流入をめぐり大きな負担に直面してきた。特にコロンビアとの国境に広がるダリエン地峡は危険な山岳・森林地帯として知られ、多くの移民が命を危険にさらしながら通過してきた。
このためパナマと米国は2024年に覚書を結び、移民が自国に安全に戻るための支援として自発的帰還プログラムを実施してきた。直行便の導入はこのプログラムの利便性と効率性を高める狙いがあるとされる。
今回の直行便はこれまでに59便が実施されてきた帰還便の60便目となるが、カラカスへの「直行」は今回が初めてとなる。ムリノ氏は記者団に対し、「これまでのように第三国を経由する必要がなくなり、移民の負担が軽減される」と述べ、ベネズエラ国民の帰還手続きを簡素化することの意義を強調した。
パナマとベネズエラの関係は昨年、両国間の航空便運航を巡る対立や外交的な緊張を背景に一時的に悪化したが、その後協議が進み、帰還支援プログラムの継続が確認されている。直行便導入はこうした外交面での関係改善の一端としても受け止められている。
ムリノ政権は移民問題を国内政策の重要課題と位置付けており、米国および国際機関との連携を通じて流入・滞留する移民への支援強化を図ってきた。米国とパナマとの間で結ばれた覚書では、移民の安全な移送や書類整備のサポートが含まれており、パナマはこれにより自国の社会インフラや治安への圧力軽減を期待している。
一方で、直行便の運航開始はベネズエラ国内の情勢とも密接に関連している。ベネズエラでは経済危機や社会不安が続き、移民流出が長年の課題となっているため、帰還支援の受け皿強化は政府側にとっても重要な政策課題だ。直行便運航が始まることで、帰還希望者が増加する可能性も指摘されている。
パナマ政府によると、来週の直行便運航後も同様の便が引き続き調整され、帰還希望者のニーズに応じた運航体制を整える方針だという。直行便が今後の移民政策や地域協力にどのような影響を与えるかが注目されている。
