パナマ政府、最高裁判決受け「パナマ運河」の主要2港収用へ
収用の対象となったのは、太平洋側のバルボア港と大西洋側のクリストバル港で、いずれもパナマ運河の出入口に位置する。
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パナマ政府は23日、パナマ運河の両端にある港湾施設を収用する命令を出した。これは同日までに最高裁判所が香港の複合企業CKハチソン・ホールディングスによる港湾運営契約を「違憲」と判断したことを受けた措置である。
収用の対象となったのは、太平洋側のバルボア港と大西洋側のクリストバル港で、いずれもパナマ運河の出入口に位置する。政府はこの港湾運営権を長年保持していたCKハチソン傘下のパナマ・ポート・カンパニー(PPC)による運営契約が憲法に反すると最高裁が判断したため、「社会的利益」を理由として海事当局に港の収用を命じた。収用にはクレーンや車両、コンピューターシステムなどの可動資産が含まれている。
PPCは1997年に両港を運営する権利を得て以来、長年にわたりコンテナ貨物取扱いなどを手がけてきた。しかし、最高裁は昨年末に同社の契約を承認した法律と、その後の延長措置を無効とし、運営の法的根拠を失わせた。この判決を受けて政府は、新たな運営者を選定するまでの間、港の管理が途絶えないよう必要な措置を取るとしている。
政府は港の継続的な運営と雇用の安定を保証する方針を表明し、デンマークの海運最大手A.P. モラー・マースク傘下の「APMターミナルズ」が一時的に管理を引き継ぐ見通しだとしている。新たな運営契約が確定するまでの暫定的な措置として、APMが両港の運用を担うことになるという。
この一連の動きは、世界的な海上物流の要であるパナマ運河をめぐる法的・政治的な論争と密接に関連している。PPCは政府の措置に対して国際商業会議所(ICC)での仲裁手続きを開始したと表明し、訴訟は将来の補償や契約関係の所在について国際法の場で争われる可能性がある。また、同社はAPMによる運営に関しても法的措置を検討していると伝えられているが、マースク側は自らが訴訟の当事者ではないとしている。
この問題は同時に米中間の地政学的な対立の文脈でも注目されている。米側は中国系企業によるパナマ運河の運営への影響力を懸念し、パナマの対応を評価する声も一部から出ている。一方で、中国政府は自国企業や投資の権益保護を主張し、強い反発を示した経緯がある。こうした大国間の圧力が、パナマ国内の法的判断や港湾管理問題に影響を与えたとの分析もある。
今回の命令により、世界の海運業界や国際貿易にとって重要なパナマ運河の運営権問題は新たな局面を迎えた。パナマ政府は法的判断に基づく対応を強調する一方、PPC側との法廷闘争を含む争いが今後も続く見込みである。
