パナマ運河のコンセッション契約は「違憲」、運営継続も混乱広がる
問題となったのは、香港の複合企業CKハチソン・ホールディングス傘下の「パナマ・ポーツ・カンパニー(PPC)」が、パナマ運河の太平洋側バルボア港と大西洋側クリストバル港の運営権を長年にわたり保有していた契約だ。
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パナマの最高裁判所は29日、パナマ運河の両端にある主要港の運営権を巡るコンセッション契約を「違憲」とする判断を下した。これにより、香港に本拠を置く大手企業の子会社が保有していた港運営権が事実上無効となる可能性が生じたが、ムリノ(José Raúl Mulino)大統領は30日、重要港湾施設の運営が中断されることはないと国民に約束した。
問題となったのは、香港の複合企業CKハチソン・ホールディングス傘下の「パナマ・ポーツ・カンパニー(PPC)」が、パナマ運河の太平洋側バルボア港と大西洋側クリストバル港の運営権を長年にわたり保有していた契約だ。この契約は1997年に始まり、2021年に延長されていたが、パナマの監査院が実施した監査で法的手続きの不備や不透明な会計処理が指摘され、最高裁はこれら一連の取り決めについて違憲と判断した。
ムリノ氏は声明で、最高裁の判断がすぐに発効するわけではないことを強調し、パナマ海事局は現段階ではPPCと協力し、港湾運営を維持すると述べた。公式な契約終了後はデンマークの物流大手「APモラー・マースク」の現地子会社が港を運営し、新たなコンセッションの入札が進められるという。ムリノ氏は「パナマは前進する。港は中断なく稼働し続け、世界に優れた物流センターとしてサービスを提供し続ける」と語った。
今回の裁判判断は米中間の地政学的緊張を背景にした側面も持つ。米国はパナマ運河の戦略的重要性を強調し、中国の影響力の拡大に対抗する方針を掲げてきた。トランプ政権下でこの問題は優先課題として位置付けられ、パナマを訪問したルビオ(Maro Rubio)米国務長官は中国の関与を警戒する姿勢を示していた。
香港政府とPPC側はこの裁定に強く反発している。PPCは声明で、同社のコンセッション契約は透明な国際入札を通じて成立したものであり、今回の裁定は「法的根拠を欠いている」と主張した。また、この決定は直接的に数千人のパナマ国民の生活と港湾活動に影響を及ぼす可能性があると懸念を示し、法的手段での対抗を辞さない意向を表明した。香港政府もこれを受け、パナマ側が外資企業の合法的な経済活動を不当に損なうものだとして強く抗議し、企業の正当な権益を守るため必要な措置を取る考えを明らかにした。
港湾運営の移管を巡っては、この判断がCKハチソンによる資産売却計画にも影を落としている。PPCは米国や欧州の投資家を含むコンソーシアムへの売却交渉を進めていたが、中国政府が関与を巡って異議を唱えたとも伝えられており、今回の判決が取引の行方を複雑にしている。
パナマ政府は新たなコンセッション方式や入札制度の策定に向け準備を進める方針だが、詳細な時期や条件は今後の協議次第だとしている。港湾労働者への影響についてムリノ氏は懸念を払拭する姿勢を示し、解雇は行わないと強調した。ただ、市場関係者の間では、今回の判断が外国企業の投資環境や国際貿易への影響をどのように及ぼすかについて不透明感が漂っている。
