ニカラグアのオルテガ政権、反体制派への越境迫害を拡大、国連が指摘
GHRENは2018年4月以降にニカラグアで発生した人権侵害を調査し、国際社会に報告することを目的とする国連の独立機関である。
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国連ニカラグア人権専門家グループ(GHREN)は23日、オルテガ政権が国外の反対派への弾圧を拡大し、亡命中の反体制派を沈黙させるためのキャンペーンをエスカレートさせていると発表した。
GHRENはジュネーブの国連人権理事会に提出した報告書の中で、オルテガ(Daniel Ortega)大統領率いる政府が海外在住のニカラグア人数千人を迫害してきた実態を明らかにした。
その多くは2018年の反政府デモ後の残忍な弾圧から国外に逃れた人々である。
GHRENはこの「越境迫害」に用いられる様々な措置を文書化した。これには国籍の恣意的剥奪、再入国禁止令、パスポート発給拒否、亡命者の資産没収などが含まれる。
GHRENは2018年4月以降にニカラグアで発生した人権侵害を調査し、国際社会に報告することを目的とする国連の独立機関である。2022年3月、国連人権理事会の決議49/3に基づき設立され、2025年9月時点でその任期は2度延長されている。
GHRENの主な任務は、ニカラグア政府による政治的抑圧、表現の自由の制限、恣意的拘束、拷問、失踪、国籍剥奪などの人権侵害を調査し、国際社会に報告することである。特に、2018年の反政府抗議活動に対する政府の暴力的弾圧が焦点となっており、これにより350人以上が死亡し、10万人以上が国外に避難したとされる。
GHRENの過去の報告書はオルテガ氏と妻のムリジョ(Rosario Murillo)副大統領の責任を明確にし、54人の政府高官が組織的な人権侵害に関与していると指摘している。これらの報告は、国際社会に対してニカラグア政府の人権侵害を非難し、責任を問うための重要な資料となっている。
GHRENの活動はニカラグア政府による国連人権理事会からの脱退や、国際人権機関の活動制限にもかかわらず、国際社会に対する圧力の一環として継続されている。このような国際的な監視と報告はニカラグア国内での人権状況の改善と、加害者の責任追及に向けた重要なステップとされている。
GHRENは最新の報告書の中で、「オルテガ政権による反対派への越境監視は綿密に組織化されており、潜入捜査官や情報提供者が対象人物の物理的・デジタル監視を実施し、その行動や交友関係を報告。場合によっては直接的な嫌がらせや脅迫も行っている」と指摘した。
ニカラグアの人権状況は「最悪」と評価されている。その理由は政府による組織的かつ広範な弾圧と抑圧にある。特に2018年の抗議デモ以降、オルテガ政権は治安部隊や親政府民兵を用いて抗議者を暴力的に排除し、10万人以上が国外に避難したとされる。恣意的拘束や拷問、強制失踪、政治犯の収容、裁判の公正性の欠如も常態化している。
さらに、報道の自由や表現の自由も厳しく制限され、独立メディアや市民団体は閉鎖や弾圧の対象となり、ジャーナリストや活動家が政府の監視下で活動せざるを得ない状況が続いている。国際的な人権監視団体によると、政府高官や治安部隊が人権侵害に直接関与しており、責任追及はほとんど行われていない。
このように、政治的抑圧、暴力的弾圧、法の支配の欠如、言論・集会の自由の制限が複合的に作用しており、国内外の専門家や国連機関から「最悪」と評される人権状況が続いている。国際社会は報告や制裁を通じて圧力をかける一方、改善の兆しは限定的である。