◎故マザー・テレサの「神の愛の宣教師会」は児童福祉施設、女子寮、高齢者施設などを運営していた。
ニカラグア政府は29日、故マザー・テレサ(Mother Teresa)が創設した慈善団体を含む101の団体、NGO、市民グループに閉鎖を命じた。
議会はオルテガ(Daniel Ortega)大統領の閉鎖命令を賛成多数で可決した。現地の独立系メディアによると、この4年間で閉鎖を命じられた非政府組織はこれで750を超えたという。
オルテガ氏はこれらの団体を「西側諸国の手先」と呼んでいる。2020年に施行された法律は政府に批判的な団体や野党とつながりのあるNGOを「外国エージェント」に指定し、取り締まりの対象としている。
政府は29日の声明で、101の団体に閉鎖を命じた。
マザー・テレサの「神の愛の宣教師会(Missionaries of Charity)」は児童福祉施設、女子寮、高齢者施設などを運営していた。
またこの団体で活動する宣教師たちは、子供に音楽や演劇の授業を提供したり、暴力の犠牲となった子供に職業訓練を提供するなど、ニカラグアで30年以上奉仕活動を行ってきた。
AP通信によると、閉鎖を命じられた著名な団体はニカラグア小児科学会、ニカラグア開発研究所、ニカラグア職業団体連合会、ニカラグア・インターネット協会など。
市内の主要な乗馬センター、西部の都市レオンのロータリークラブ、子供たちに手術の資金を提供していた人権NGOも閉鎖を余儀なくされている。
これらの団体に資金を提供していた著名な実業家は、2018年の反政府デモに参加していた。
多くの団体が極端な経済不安に悩む国民を支援するために活動していた。中米で最も貧しいニカラグアの1人あたりGDPはこの10年ほとんど成長していない。
オルテガ氏は昨年11月の不正総選挙で4期目を決めて以来、野党議員を含む政敵の排除と投獄を進めている。
オルテガ氏は総選挙に先立ち、主要な大統領候補7人を反逆罪に相当する容疑で刑務所に送り、その他の野党関係者数十人も合わせて投獄した。逮捕された議員らは刑務所内で裁判にかけられ、長期刑を言い渡されている。
2018年のオルテガ氏に対する抗議デモ以来、数万人が近隣諸国に逃亡し、不安定な生活を送っている。