◎大西洋岸と太平洋岸を結ぶという壮大なプロジェクトは最後まで着工しなかった。
ニカラグアのオルテガ大統領(右)と妻のムリジョ副大統領(Alfredo Zuniga/AP通信)

ニカラグア議会は8日、環境を危険にさらし、農村地域の集団移転を引き起こすと懸念されていた中国資本による大陸横断水路建設工事をようやく取り消した。

この工事の起工式は2014年に行われたものの、大西洋岸と太平洋岸を結ぶという壮大なプロジェクトは最後まで着工しなかった。

現地メディアによると、大西洋岸の河口建設予定地で資材搬入用の道路を造る工事が着工したものの、水路の掘削は始まらなかったという。

議会は8日、賛成多数でこの工事の凍結を決めた。

ニカラグアを横断する全長278キロの運河は長い間ジョークとみられていたが、独裁者のオルテガ(Daniel Ortega)大統領がやる気を出したことで国を巻き込む論争に発展。政府は建設費用を500億ドル(約7兆7800億円)と見積もっていた。

何万人もの農民がこのプロジェクトに怒りを表明。ある人権団体は「当局が私有地を強制収用する恐れがある」と警告していた。

ニカラグア地裁は2019年、このプロジェクトに抗議するデモを主催した農民指導者3人にそれぞれ禁固216年、210年、159年を言い渡した。

3人は国家転覆を画策した罪に問われていた。

オルテガ氏は運河が何万もの雇用を創出し、経済を刺激すると主張。反対派は深刻な環境リスクをもたらし、田舎に住む何千もの家族を強制移住させ、財政的にも実現不可能だと非難していた。

欧米の専門家はこの運河の建設費用を900億~1000億ドルと見積もっていた。

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