◎エルサルバドルの憲法は同一人物が2期連続で大統領を務めることを禁じているが、1期(5年)間隔を空ければ立候補できる。
エルサルバドルのブケレ(Nayib Bukele)大統領が再選を目指す中、選挙管理委員会に対し、同氏の大統領選立候補届を取り消すよう求める声が高まっている。
高等選挙裁判所は先週、ブケレ氏が来年の大統領選に出馬することを認めた。
エルサルバドルの憲法は同一人物が2期連続で大統領を務めることを禁じているが、1期(5年)間隔を空ければ立候補できる。
ブケレ氏は国内で活動する強力なギャング(マラ・サルバトルチャとパリオ18)に対する激しい取り締まりで暴力事件を抑えこみ、国民から揺るぎない支持を得た。
しかし、国際的な人権団体や専門家は「安全保障が人権を犠牲にしている」と指摘。ブケレ氏の強引なやり方が民主主義を徐々に蝕んでいると批判する。
大統領選は来年2月4日に行われる予定だ。
活動家たちはブケレ氏の立候補を無効化するよう高等選挙裁判所に求めているが、同裁判所はすでにブケレ氏の主張を受け入れており、方向転換する気配はない。
地元メディアによると、2人の弁護士、市民グループ、そして野党関係者は7日、ブケレ氏の立候補取り消しを求める新たな訴えを起こした。
最新の世論調査によると、ブケレ氏は大差で勝利する可能性が極めて高い。ブケレ氏が推進するギャング掃討作戦は圧倒的な支持を集めており、野党候補の支持率は10%前後である。
この掃討作戦に伴う非常事態宣言は1年半以上継続されている。
一連の取り締まりで逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は昨年3月以来、7万5000人近くに達した。その大半が裁判を受けることなく刑務所に勾留されている。