◎昨年ダリエンを通過した移民は52万人を超え、22年の2倍以上に急増。過去最高を更新した。
2024年9月26日/コロンビアとパナマの国境「ダリエン地峡」、米国を目指す移民(Getty Images/AFP通信)

中米パナマ政府の統計によると、同国とコロンビアの間にある危険な密林地帯「ダリエン地峡(Darien Gap)」を通過した移民の数が9月に急増し、その大半がベネズエラ人であったという。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も11日に公表したレポートで、「ベネズエラにおける7月の大統領選後の弾圧が移民の増加につながった」と非難した。

このレポートはパナマとコスタリカの移民保護施設における数十人のインタビューに基づいている。

昨年ダリエンを通過した移民は52万人を超え、22年の2倍以上に急増。過去最高を更新した。

そこを通過した移民は他の中米諸国とメキシコを巻き込んで米南部国境を目指す。米当局が昨年拘束した移民は250万人に達した。その7割がベネズエラ人であった。

今年7月に就任したパナマのムリノ(José Raúl Mulino)大統領は米政府の支援を得て、ダリエンの移民を減らすと約束。国境警備を強化している。

ムリノ氏は現在、米国、コロンビア、エクアドル、インドなどの協力を得て、本国送還プログラムを実施している。米政府は受け入れ不可能と判断された移民の強制送還費用を負担している。

パナマは隣国のコスタリカと同様、ベネズエラの独裁者マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の勝利を認めず、外交関係を停止。これにより、ベネズエラへの送還は不可能となった。

パナマ政府によると、今年ダリエンを通過した移民は10月7日時点で27万7,939人。23年同時期より36%減となった。しかし、先月の通過者は8月に比べて大幅に増加した。

先月の通過者は2万5111人。8月から51%増え、その80%以上がベネズエラ人であった。その他はコロンビア人、エクアドル人、中国人などであった。

マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月末に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。

しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、全野党の統一候補ゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたという。

米国を含む数カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。

しかし、最高裁判所は8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらに首都カラカスの地方裁判所は9月初め、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。

この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。

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