メキシコで「裁判官選挙」、司法の独立性への懸念高まる

最低限の資格を持つ弁護士であれば誰でも裁判官選挙に立候補できるようになった。
2024年9月7日/メキシコ、首都メキシコシティの国会議事堂近く、政府与党の司法制度改革案に抗議する人々(AP通信)

メキシコで1日、最高裁判所の判事を含む全国の裁判官を選ぶ選挙が行われている。

連邦議会は昨年9月、与党・国家再生運動(MORENA)の司法制度改革法案を3分の2以上の賛成多数で可決した。

この憲法改正により、最低限の資格を持つ弁護士であれば誰でも裁判官選挙に立候補できるようになった。

この改革はメキシコのあらゆるレベルの裁判所にとって歴史的な大改革となった。有権者は6月1日と27年の選挙で最高裁判事を含む約2600人の裁判官を選出する。

一部の専門家は経験の浅い政治的に偏った裁判官を生む可能性があると警告している。

また、麻薬カルテルやギャングが自分たちに近い優秀な人物を選挙に送り込む可能性も否定できない。

選挙期間中、麻薬王「エル・チャポ」ことグスマン(Joaquin Guzman)受刑者の元弁護士を含む一部の候補者に関するスキャンダルが連日報じられた。

反対派はこの改革で与党に対するチェックアンドバランスが弱体化するリスクがあり、同党に友好的な判事を任命することで、また組織犯罪グループが自前の候補を立候補させることで、司法制度への影響力を拡大させる可能性があると指摘している。

メキシコはボリビアと共に、世界で唯一、選挙で裁判官を選出する国である。米国では州レベルでの司法選挙が一般的、スイスの一部地域も裁判官を選挙で選んでいる。

1日の投票では最高裁判事9人に加え、32の行政区のうち19の地域で判事と裁判官が選出される。立候補者は7700人を超えている。

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