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メキシコ大統領、カルテルメンバー37人の米国への送致を擁護

この37人は世界最大の麻薬組織シナロア・カルテルやハリスコ新世代など、複数の組織に関係するとされ、米国はこれらを外国テロ組織に指定している。
2025年12月5日/米ワシントンDC。トランプ大統領(左)とメキシコのシェインバウム大統領(AP通信)

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は21日、米司法省からの要請を受けて37人の麻薬カルテル構成員を米国に送致したことについて、「主権に基づく決定であり、外圧ではなくメキシコが国家として判断した」と強調した。

ハルフッシュ(Omar Garcia Harfuch)治安・市民保護相は20日にこの37人が米国に送致されたと明らかにしていた。

この37人は世界最大の麻薬組織シナロア・カルテルやハリスコ新世代など、複数の組織に関係するとされ、米国はこれらを外国テロ組織に指定している。今回の送致はこの1年で3度目に当たり、メキシコ政府はこれまでに計92人を米国に送っている。

シェインバウム氏は定例会見で、米国からの要請はあったものの最終的な判断は国家安全保障会議が「メキシコにとって何が有益か」を分析したうえで下したと説明した。またシェインバウム氏は「いかなる要請があろうとも、メキシコの利益を最優先する。これは主権に基づく決定だ」と述べ、国内外の批判に反論した。

今回の送致については、トランプ(Donald Trump)米大統領が麻薬カルテルに対する強硬姿勢を打ち出していることが背景にあるとの見方が強い。トランプ政権はカルテルに対する軍事行動を辞さない構えを示し、メキシコ政府に更なる対応を求めてきた。こうした圧力への対応策として、カルテル関係者の送致が戦略的に利用されているという分析もある。

米側は今回の送致を歓迎する声明を出している。ボンディ(Pam Bondi)司法長官はX(旧ツイッター)への投稿で、「トランプ政権のカルテル壊滅への重要な一歩」と評価し、両国の協力関係が地域の安全保障にとって重要だと強調した。送致された人物の中には麻薬密輸や武器所持の容疑で起訴された者も含まれ、米当局は裁判を進める方針を示している。

メキシコ国内では、今回の送致は米国からの圧力に屈した行動だと批判する声もある。野党議員や一部の専門家は、カルテル対策を米国の要求に依存しすぎているとしてメキシコの主権が脅かされる可能性を指摘している。一方で政府支持者は、司法や治安の面でメキシコ単独では対処しきれない深刻なカルテル問題を解決するための現実的な措置であると評価する。

こうした動きは、米墨間の安全保障協力の重要性を浮き彫りにしているが、同時にメキシコの主権と国内政治への影響が今後の大きな議論となる可能性がある。

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