◎メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は11万5000人以上と推定されている。
メキシコ南部ゲレロ州で24日、麻薬カルテルとみらえる武装集団と警察による銃撃戦が発生し、警察官2人が死亡、4人が負傷した。
州警察によると、陸軍の特殊部隊が武装集団を追撃し、14人を殺害。この戦闘で兵士3人が負傷したという。
武装集団は3台の防弾車、機関銃、爆弾を投下できるドローンで警察を圧倒したが、陸軍の攻撃で壊滅した。警察によると、数人が現場から逃走したという。陸軍と警察が行方を追っている。
ゲレロ州は同国で最も危険な州のひとつであり、麻薬組織ファミリア・ミチョアカーナや他のカルテル傘下ギャングが支配権をめぐって長年抗争を繰り広げてきた。
中部グアナフアト州では24日、2つの自動車爆弾が爆発し、女性ら3人が負傷した。
暴力事件が急増しているにもかかわらず、今月就任したシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は前任者の「銃弾ではなく抱擁」というアプローチを継続すると表明している。
シェインバウム氏は24日の定例記者会見で、「軍にカルテルと対立しないよう命じた」と明らかにした。「我々は麻薬カルテルとの戦争に戻るつもりはありません...」
しかし、シェインバウム氏の願いもむなしく、いくつかの州ではカルテル間抗争が激化し、警察、陸軍、そして一般市民が巻き込まれている。
グアナフアト州アカンバロの警察署近くの自動車爆弾が爆発した現場では、車の残骸が数百メートル先で見つかった。
さらに、この爆発から約30分後、隣の町でも大きな爆発が起きた。これも自動車爆弾とみられ、巻き込まれた人はいなかったが、近くの建物の屋根瓦や商店、警察車両などが被害を受けた。
グアナフアト州セラヤでは2023年7月、隣接するハリスコ州の麻薬カルテルが即席爆発装置(IED)とみらえる7つの爆弾で4人の警察官と2人の市民を殺害した。IEDは車道に掘られた穴に仕掛けられていた。
カルテルは道路脇にIEDや地雷を設置、陣地内に塹壕を掘ったり、機関銃を搭載した自家製装甲車や爆弾を投下するドローンも使用している。