メキシコ大統領、トランプ米政権の制裁を批判、金融機関が対象に

麻薬組織とつながりがあったり、何らかの取引を行っている金融機関、企業、個人は制裁の対象となる可能性がある。
2024年11月26日/メキシコ、首都メキシコシティ、シェインバウム大統領(AP通信)

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は26日、米財務省がメキシコの3金融機関に制裁を科したことについて、その主張を裏付ける証拠を示していないと反論した。

米財務省は25日、麻薬カルテルとつながりがあるとされるメキシコの3金融機関(CIBanco、Intercam Banco、Vector Casa de Bolsa)を制裁リストに追加。同省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)はこの3機関を「主要な資金洗浄(マネーロンダリング)懸念対象」に指定し、米国民および米企業との取引を禁じた。

シェインバウム氏は定例会見で、米政府にその証拠を提示するよう繰り返し要求したにもかかわらず、3金融機関がマネーロンダリングを行ったことを証明する証拠を何も示していないと批判した。

またシェインバウム氏は「金融機関をかばうつもりはない」と強調。制裁を科すのであれば、その証拠を、犯罪が行われたことを立証しなければならないと述べた。

地元メディアによると、制裁の対象となった3金融機関も疑惑を否定したという。

専門家はこの制裁について、比較的小規模な機関が対象となったものの、銀行間の相互接続性と米国との密接なビジネス関係を踏まえると、メキシコの金融システムに影響を与える可能性があると指摘している。

麻薬カルテルとのつながりを理由に個人や企業に制裁を科すことは比較的頻繁に行われているが、金融機関を対象とするのは稀である。

トランプ(Donald Trump)大統領は移民と合成麻薬フェンタニルによる「脅威」を理由に、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく国家非常事態を宣言。メキシコ国境に軍を展開し、軍用機で不法滞在者を送還するなど、様々な移民・麻薬対策を導入している。

トランプ政権は2月、メキシコの麻薬組織シナロア・カルテルやハリスコ新世代など、中南米の8つの麻薬組織を「外国テロ組織」に指定した。

これらの組織とつながりがあったり、何らかの取引を行っている金融機関、企業、個人は制裁の対象となる可能性がある。

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