◎ヌエボラレドは米テキサス州と国境を接している。
メキシコのコンビニ最大手OXXO(オクソ)は2日、麻薬カルテルの支配下に置かれる北部タマウリパス州ヌエボラレドの191店舗の営業を再開したと発表した。
それによると、ヌエボラレド市内の全店舗と7つのガソリンスタンドの営業を2日から再開したという。
ヌエボラレドは米テキサス州と国境を接している。
OXXOを運営する飲料大手フェムサは声明で、「警察が店舗および周辺のパトロールを強化し、さらに全ての店舗に異常を知らせるボタンを設置して警察に出動を要請できるようになった」と述べた。
タマウリパス州はメキシコで最も危険な地域のひとつであり、麻薬組織「湾岸カルテル」から派生した複数のギャング、世界最大の麻薬組織「シナロア・カルテル」、その他のカルテルや武装民兵が血生臭い縄張り争いを繰り広げている。
地元メディアが今週公表した大企業を対象とする調査によると、その多くがカルテルやギャングに脅されたり、特定の商品を販売・転売したり、利益の一部をみかじめ料として請求されたことがあると回答したという。
フェムサ社は今週初め、一部のガソリンスタンドが特定の販売業者から燃料を購入するようカルテルに要求され、長い間対応に苦慮してきたと明らかにした。
それによると、カルテルもしくはその手下とみられるギャングは店舗の従業員を脅し、監禁したこともあったという。
地元テレビ局は専門家の話しとして、「カルテルは対立組織の構成員を含む多くの市民が利用するOXXOの従業員や店主に見張り役になるよう命じ、拒否した場合、その家族がひどい目に遭うこともある」と伝えている。
カルテルはコンビニの監視カメラで対立組織の構成員を確認したり、陸軍や警察の動きをチェックしたいと考えているようだ。
フェムサ社の広報担当は地元テレビ局の取材に対し、「一度カルテルやギャングの言いなりになると、骨の髄まで絞り取られることになる」と語った。
メキシコのカルテルはしばしばコンビニを利用し、店主を脅したり、誘拐したりして要求を受け入れるよう脅迫する。
フェムサ社はラテンアメリカ最大の飲料企業であり、メキシコ証券取引所に上場している。
ヌエボラレドの問題は全国に波及しつつあるようだ。地元メディアによると、カルテルはまず初めに郊外の農村部を支配し、その後支配地域をゆっくり広げ、農業、漁業、鉱業など、様々な分野の企業に圧力をかけ、実質的に乗っ取ろうとするという。
メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は10万人以上と推定されている。