◎国際ジャーナリスト連盟(IFJ)はメキシコをジャーナリストにとって最も危険な国のひとつに位置付けている。
メキシコ西部ナヤリ州で大手新聞社の特派員の遺体が見つかった。地元当局が9日、明らかにした。
それによると、死亡が確認されたのは59歳の男性特派員であるサンチェス(Luis Martín Sánchez Íñiguez)氏。5日に行方不明となり、捜索願が出されていた。
ナヤリ州ではこの数日でサンチェス氏を含むジャーナリスト少なくとも3人が行方不明になっていた。
サンチェス氏の遺体は同州郊外の集落で8日に発見された。死因は明らかにされていない。
検察によると、サンチェス氏の身体には2つのメッセージが残されていたという。同氏は遺体で発見される24~48時間前に殺害されたと考えられている。
サンチェス氏が失踪する前日には元特派員である教師の男性が行方不明になった。
3人目の行方不明者は7日に拉致されたものの、その後生存が確認されたという。当局はこの男性について、健康状態は良好と明らかにした。
メキシコのジャーナリスト協会はSNSに声明を投稿。「我々は殺害されたジャーナリストのために正義を要求する」と書き込んだ。
米州新聞協会も事件を糾弾し、当局に徹底捜査を求めた。
メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつとされ、2000年代中頃に本格化した麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人と推定されている。
ジャーナリストの殺害には麻薬カルテルなどの犯罪組織が関与していることが多く、小さな町ではギャングとつながりのある役人や政治家が関与していることも珍しくない。特に郊外で活動している小さなメディアは標的になりやすい。
同国では今年、少なくとも4人のジャーナリストが殺害されている。
国際ジャーナリスト連盟(IFJ)はメキシコをジャーナリストにとって最も危険な国のひとつに位置付けている。
殺害されたジャーナリストの多くは公務員の汚職や麻薬カルテルを追跡取材していたとされ、逮捕者が出ることはほとんどない。
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」によると、2000年以降、メキシコで殺害されたジャーナリストは確認できているだけで150人近くにのぼる。