メキシコ初の「裁判官選挙」、投票率13%=選挙管理委員会

連邦議会は昨年9月、与党・国家再生運動(MORENA)の司法制度改革法案を3分の2以上の賛成多数で可決した。
2025年6月1日/メキシコ、首都メキシコシティ、投票するシェインバウム大統領(AP通信)

メキシコで1日に行われた同国初の「裁判官選挙」について、選挙管理委員会は2日、投票率が13%前後であると明らかにした。

シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は選挙を称賛したが、アナリストたちは麻薬カルテルやギャングに近い人物が裁判官に選ばれる可能性が高まったと指摘している。

連邦議会は昨年9月、与党・国家再生運動(MORENA)の司法制度改革法案を3分の2以上の賛成多数で可決した。

この憲法改正により、最低限の資格を持つ弁護士であれば誰でも裁判官選挙に立候補できるようになった。

この改革はメキシコのあらゆるレベルの裁判所にとって歴史的な大改革となった。有権者は6月1日と27年の選挙で最高裁判所の判事を含む約2600人の裁判官を選出する。

一部の専門家は経験の浅い政治的に偏った裁判官を生む可能性があると警告してきた。

麻薬カルテルやギャングが自分たちに近い優秀な人物を選挙に送り込む可能性もある。

シェインバウム氏は2日の定例会見で、「約1億人の有権者のうち約1300万人が投票し、裁判官を選出した」と語った。

集計は6月15日に終了する予定。選管は複数のサンプルに基づき、投票率を12.57~13.32%と推計した。

シェインバウム氏は公正な投票と節約を重視したキャンペーンを理由に、この裁判官選挙を絶賛した。

内務省も声明を出し、「投票は平和と静けさの中で行われた」と強調した。「昨日の投票率は期待に沿ったもの、革新的なプロセスであった...」

メキシコで投票は義務ではなく、選挙の正当性を確立するための最低投票率も定められていない。

世論調査会社は野党のボイコット呼びかけと多数の候補者による投票の複雑さから、投票率が記録的な低さになると予想していた。

首都メキシコシティの投票所でAP通信の取材に応じた女性は「全く知らない人に投票した」と語った。

選挙期間中、麻薬王「エル・チャポ」ことグスマン(Joaquin Guzman)受刑者の元弁護士を含む一部の候補者に関するスキャンダルが連日報じられた。

反対派はこの改革で与党に対するチェックアンドバランスが弱体化し、同党に友好的な判事を任命することで、また組織犯罪グループが自前の候補を立候補させることで、司法制度への影響力を拡大させる可能性があると指摘している。

メキシコはボリビアと共に、世界で唯一、選挙で裁判官を選出する国である。米国では州レベルでの司法選挙が一般的、スイスの一部地域も裁判官を選挙で選んでいる。

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