◎このストが裁判所の運営に影響を与えるかどうかは不明だ。
メキシコの連邦裁判所職員が19日、政府与党の司法制度改革案に抗議するストライキを開始した。
職員たちはオブラドール政権の改革案が裁判所職員の労働条件、福利厚生、給与を脅かすと批判。最高裁を含むいくつかの裁判所前で座り込み抗議を開始した。
職員たちは経験を積んだ裁判官や職員がより高い地位に昇進できる制度を廃止する案にも反対している。
現地メディアによると、このストが裁判所の運営に影響を与えるかどうかは不明だ。
オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は法学部の学位と数年間の弁護士経験があれば、ほぼ誰でも判事に選出できるようにしたいと考えている。
与党・国家再生運動(MORENA)は6月の総選挙で大勝している。この改革案が国会で可決されると、今後選出される裁判官は与党寄りになる可能性がある。
オブラドール氏は以前から、多くの裁判官が汚職に手を染め、犯罪者を優遇していると批判してきた。
司法当局はこの主張を否定。麻薬カルテルやその他犯罪組織への対応に苦慮しているオブラドール政権がその責任を司法に負わせようとしていると批判している。
オブラドール氏は頻繁に司法と対立し、政府に不利な判決を下した裁判官の名前を公表してきた。
オブラドール氏は独立した規制・監督機関を嫌い、その大半を廃止しようとしている。
多くの専門家がこれを「独裁の始まり」と評し、司法改革は司法の独立性を弱め、大統領に対するチェック・アンド・バランスが機能しなくなることを意味すると非難している。
オブラドール氏は19日の定例会見でストに言及。「彼らは自分たちの給与が減額されると勘違いしているようだ」と語った。
メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は10万人以上と推定されている。