◎政府は国営電力会社の収益を確保したい。
メキシコ議会は17日、2013年の電力自由化を取り消す憲法改正の是非を問う国民審査(投票)に先立ち、問題について議論した。
国民審査の投票率が40%を超え、かつ過半数が賛成に票を投じれば、憲法は改正され電力自由化は大きく見直されることになる。投票率が40%を下回れば法的拘束力は発生しない。
議会で憲法を改正するには、3分の2以上の賛成が必要である。
オブラドール大統領は外国企業の再生可能エネルギー発電所(主に太陽光)を制限したいと考えており、改正に成功すれば、国営電力会社は国内市場の少なくとも54%を確保できる。
地元メディアによると、代議院(下院)の議員500人のほぼ全員が討論会に出席したという。与党国民再生運動(MORENA)と連立を組む2党は定数500のうち277議席を確保しており、野党議員56人を取り込めば改正できる可能性がある。
一部の親オブラドール派は改正に反対する野党議員を「売国奴」と非難し、電力自由化は失敗と訴えた。
野党は与党の主張を却下し、市場を閉じれば民間企業の投資を失うと反論した。
一部のアナリストは、この改革が実行されればメキシコ市場は投資家の信頼を失うと指摘している。
また民間電力会社は法的措置に踏み切る可能性が高く、米国も自由貿易協定に基づいてメキシコ政府を提訴すると思われる。
与党は国営(州営)電力会社に電力供給の契約などでより多くの裁量権を与える法案を可決したが、民事訴訟により施行時期は見通せない状況である。
メキシコの民間電力会社は自前の再生可能エネルギー発電所を複数保有している。一方、国営の電源の大半は火力発電である。