▽動物愛護団体によると、世界中で毎年約18万頭の雄牛が闘牛で殺されているという。
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メキシコ・首都メキシコシティの議会は18日、市内での「暴力的な闘牛」を禁止する法案を圧倒的賛成多数で可決した。
この法案は雄牛の殺傷と、雄牛を傷つける可能性のある道具の使用を禁止するとしている。超党派の議員団はこれを「暴力のない闘牛」と呼んでいる。
法案は雄牛が闘牛場で活動する時間にも制限を設けている。
地元メディアによると、この法案は闘牛支持者やマタドールの怒りに満ちた抗議を呼び起こし、そのうち何人かは市議会庁舎に突撃。警察のバリケードを突破しようとしたという。
18日の採決に先立ち、議事堂前では闘牛支持者と動物愛護団体がにらみ合いになり、警察が介入。逮捕者は確認されていない。
動物愛護団体は採決後、祝杯をあげ、与党・国家再生運動(MORENA)所属の市長も参加した。
報道によると、市内で闘牛を主催する「ラ・プラザ・メキシコ(La Plaza Mexico)」は法律の差し止めを求める訴状を裁判所に提出する予定だという。
今回の法案は闘牛をめぐる長年の対立の妥協点を見出そうとする試みのひとつであった。
最高裁判所は24年1月、メキシコシティの闘牛禁止令を一時的に停止。約2年振りに闘牛が開催され、多くのファンが会場に足を運んだ。
しかし、動物愛護団体は新たな訴訟を起こし、メキシコシティ地裁はその後、団体の訴えを認め、闘牛の開催を一時的に差し止めた。
地裁は22年5月、「闘牛は暴力のない健康的な環境を求める住民の権利を侵害している」と裁定。メキシコシティでの闘牛を禁じた。
しかし、最高裁は闘牛が動物愛護にどのような影響を与えるか調査し、決定を下すまでの間、中止令を差し止めていた。
動物愛護団体によると、世界中で毎年約18万頭の雄牛が闘牛で殺されているという。
メキシコのシナロア州、ゲレロ州、コアウイラ州、キンタナロー州などでは動物愛護団体の訴えにより、闘牛が禁じられたり、大会が制限されている。
闘牛業界はこの禁止令により、数十万人の雇用と年間数億ドルの利益が失われると主張。それによると、闘牛産業は約8万人の直接雇用と14万6000人の間接雇用を生み出しているという。