▽ハリスコ州は同国で最も危険な州のひとつであり、世界最大の麻薬組織シナロア・カルテルの宿敵ハリスコ新世代の本拠地がある。
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メキシコのマネロ(Alejandro Gertz Manero)検事総長は19日、西部ハリスコ州で麻薬カルテル「ハリスコ新世代」の集団墓地が見つかった事件について、当局の捜査に不備があったと認めた。
この施設は同州グアダラハラから60キロほど離れた砂漠地帯にある。行方不明者の親族たちが参加するNGOはこの敷地内に入って家族の持ち物を探していた。
ハリスコ州は同国で最も危険な州のひとつであり、世界最大の麻薬組織シナロア・カルテルの宿敵ハリスコ新世代の本拠地がある。
ハリスコ州でこのような集団墓地が見つかることは珍しくない。
今回NGOが調べた施設は昨年9月に州当局が一度捜索を行っていた。
当局は当時、ハリスコ新世代の構成員とみられる10人を逮捕、2人の人質を救出し、1人の遺体を発見したと明らかにしていた。
それによると、この施設はハリスコ新世代の訓練場として運営されていたという。当局は重機や警察犬などを投入して遺体が埋まっていないか捜索したものの、捜査は遅々として進まず、事実上打ち切られていた。
マネロ氏は記者会見で、「ハリスコ州の捜査当局が証拠や指紋の登録、施設で発見された車両の処理を怠り、そのうち3台は後に盗難車であることが確認された」と語った。
またマネロ氏は「地元当局は施設の所有者を調査せず、科学的な分析も怠っていた」と述べた。
NGOは先週、この施設を捜索し、何百もの人骨を発見、警察に通報した。人骨は施設の様々な場所に埋められていたと伝えられている。
警察は人骨、灰、数百枚の衣服、遺体を火葬するために使われたとみられるドラム缶などを押収した。
マネロ氏によると、検察官も昨年、この施設の捜査を怠り、逮捕者が出たにもかかわらず、地元当局の「怠惰な捜査」を信じたという。
マネロ氏は「地元当局が検察に責任を負わせた」と主張。地元メディアによると、州警察は当時の捜査に関するコメントを出しておらず、不正行為を否定しているという。
マネロ氏は「この施設がカルテルの火葬場として使われていたかどうかは分かっておらず、慎重に捜査している」と述べた。
メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は12万人以上と推定されている。
AP通信によると、地元住民はこの施設を「屠殺場」と呼んでいたという。麻薬カルテルはこのような人里離れた場所でライバル組織の構成員などを殺害している。
米国務省は先月、ハリスコ新世代やシナロア・カルテルを含む中南米の8つの麻薬カルテルを外国テロ組織に指定した。
カナダ当局もこれに続き、ハリスコ新世代を含む7つの麻薬カルテルを外国テロ組織に指定した。