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メキシコ、キューバへの石油供給停止を検討中、米国の報復懸念

キューバは長年、燃料不足と慢性的な電力危機に直面してきたが、昨年12月の米国によるベネズエラ向け石油タンカーの封鎖や同国の大統領拘束を受け、ベネズエラからの原油供給が途絶した。
メキシコ沖、リベリア船籍の石油タンカー(ロイター通信)

メキシコ政府がキューバへの石油輸送政策の見直しを進めている。現在、政府内では輸送を継続するか、減らすか、あるいは全面的に停止するかの選択肢が検討されている。背景にはトランプ米政権による報復措置の可能性を懸念する声が強まっているためだ。

キューバは長年、燃料不足と慢性的な電力危機に直面してきたが、昨年12月の米国によるベネズエラ向け石油タンカーの封鎖や同国の大統領拘束を受け、ベネズエラからの原油供給が途絶した。これにより、メキシコがキューバにとって最大の石油供給国となっている。

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領はキューバに対して石油輸送を継続する意向を示している。これは長期契約に基づくものであり、人道的支援と位置付けられることから正当だとしている。だが、政府高官の間では、トランプ政権がこの支援を問題視する可能性が強まっているとの懸念が広がっている。

米側ではトランプ(Donald Trump)大統領が「キューバへの石油や資金提供を認めない」と発信しており、この方針がメキシコにも影響を及ぼす可能性が指摘されている。トランプ氏は最近、苦境にあるキューバに対し「妥協する前に取るべき手を講じるべきだ」と述べていた。

メキシコ政府が検討している輸送見直しは、単に外交関係の問題にとどまらない。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉や麻薬カルテルへの取り組みに関する米国との協議が同時進行していることも影響している。関係者によると、米国がカルテル対策で求める軍事的な行動についても圧力が強まっているという。

また、政府内部では輸送停止がキューバ国内の人道危機を悪化させ、大規模な移民流出を招くとの懸念もある。キューバへの燃料供給が途絶すれば、電力インフラや交通、医療サービスにも深刻な影響が出る可能性があるためだ。こうした考慮から、輸送量の段階的な削減や部分的な継続を支持する意見もある。

現時点でメキシコ政府は最終決定を出しておらず、複数の選択肢が検討されている段階だ。政府は「キューバ国民への連帯を示す政策」であり、石油輸送と医療機関への支援は主権に基づく決定だと説明しているが、国内外の政治・人道・安全保障上の影響を慎重に判断している。キューバ側はこの問題についてコメントしていない。

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