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メキシコ大統領、米国との連携強化模索、トランプ氏が麻薬カルテル攻撃示唆

トランプ氏は8日、FOXニュースのインタビューで、米軍が海上での麻薬運搬阻止に一定の成果を上げたとして、次は「陸上のカルテルを攻撃する」と表明した。
メキシコのシェインバウム大統領(左)とトランプ米大統領(AP通信)

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は9日、トランプ(Donald Trump)米大統領がメキシコ国内の麻薬カルテルに対する「地上攻撃」を示唆したことを受け、米国との安全保障協力の強化を図るよう外相に指示したと明らかにした。シェインバウム氏は定例会見でこの問題に言及。外相に対し、必要なら米国務長官やトランプ氏と直接協議するよう命じたと説明した。

トランプ氏は8日、FOXニュースのインタビューで、米軍が海上での麻薬運搬阻止に一定の成果を上げたとして、次は「陸上のカルテルを攻撃する」と表明した。この発言は、米軍による最近のベネズエラ攻撃を背景にしたもので、トランプ氏は「カルテルがメキシコを支配している」と述べ、麻薬組織への強硬な姿勢を強調した。

これに対しシェインバウム氏は、米国がメキシコの主権を侵害するような一方的な軍事行動を取るべきではないと繰り返し強調している。メキシコ政府は対カルテルにおける協力関係は歓迎する一方で、外国軍の自国領土内での活動や指揮権の委譲は認めないとの立場を鮮明にしてきた。

シェインバウム氏は24年10月に大統領に就任して以降、国内治安の改善を掲げ、初期の公式データでは殺人認知件数が約40%減少したとする成果を強調している。政府はシナロア・カルテルをはじめとする組織犯罪対策として、カルテル幹部の国外追放や大規模な軍事作戦を実施していると説明している。

しかし、トランプ氏による軍事的圧力が強まる中で、メキシコ国内では懸念が高まっている。専門家や政府関係者によると、メキシコ政府は米国との安全保障協力を深化させつつ、主権を守るための微妙なバランスを取ろうとしているという。米国によるベネズエラへの介入が地域の緊張を高めたこともあり、メキシコ側は一層の連携強化を通じて誤解や対立を回避する必要に迫られているとの見方が出ている。

メキシコ政府はこれまでにも、米国と麻薬取引や治安対策で情報交換や捜査協力を進めてきたが、軍事介入に関する懸念から強い反発も示している。シェインバウム氏は「協力は歓迎するが、隷属や介入は拒否する」と明言しており、米側との対話を継続していく意向を示している。

一方、米側ではカルテル対策として軍事的選択肢を含めた圧力強化を訴える声が根強く、今後の米墨関係における安全保障協議は重要な焦点となる見込みだ。メキシコ国内でも麻薬流入や暴力の減少をめぐる評価は分かれており、両国の協力が治安改善にどのように寄与するかが注目されている。

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