メキシコ大統領、トランプ氏との電話会談で主権を再確認
シェインバウム氏は定例会見で、領土内での作戦はあくまでメキシコ軍・警察によって遂行されるべきだと強調した。
とトランプ米大統領(Getty-Images).jpg)
メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は29日、トランプ(Donald Trump)米大統領との電話会談で国の主権を強調し、メキシコ領内での治安作戦は常に自当局が実施するとの立場を改めて示した。これは、元オリンピック・スノーボード選手でカナダ人のライアン・ジェームズ・ウェディング(Ryan James Wedding、44歳)容疑者が麻薬密輸容疑で拘束され、米国へ送還された事案をめぐる論争を受けた発言である。
シェインバウム氏は定例会見で、領土内での作戦はあくまでメキシコ軍・警察によって遂行されるべきだと強調した。また「我々は米国との共同作戦を受け入れることは決してない。わが国の領土での作戦はメキシコの部隊によって行われる」と述べ、トランプ氏にもこの点を伝えていると述べた。
この発言は、ウェディング容疑者の拘束方法をめぐって見解が分かれていることを背景としている。メキシコ政府と駐メキシコ・米国大使は同容疑者が先週、首都メキシコシティの在米国大使館に自ら出頭したと説明したが、容疑者の弁護団はこれを否定している。一方で、米連邦捜査局(FBI)のパテル(Kash Patel)長官は、容疑者が「共同作戦」により拘束されたと説明、米国の関与があったとの認識を示している。
シェインバウム氏はトランプ氏との電話会談では容疑者の拘束については話さなかったと説明した。また、拘束の詳細を把握していないと述べ、FBI長官との見解の相違について論争を拡大したくないとの考えを示した。
今回の電話会談は麻薬密輸、国境の安全保障、貿易といった幅広い課題について両首脳が話し合う中で行われた。トランプ政権はメキシコの麻薬カルテルに対して軍事的圧力を強める姿勢を示しており、シェインバウム政権はこのような圧力がメキシコの主権を侵害する恐れがあるとして強く反発してきた。
トランプ氏は最近、カリブ海や東太平洋での軍事作戦に加え、陸上でのカルテル掃討作戦を進めたい意向を繰り返し表明し、これがメキシコ国内での米国の治安介入につながるのではないかという懸念が広がっていた。特に、今月初めに行われたベネズエラでの米軍による作戦で大統領が失脚したことを受け、地域における米国の軍事行動への警戒感が強まっている。
シェインバウム氏は、主権を守るために一方的な米軍介入を許容しない一方で、両国の協力関係は継続すべきだとの立場を取っている。実際に近年、メキシコは米国へのカルテル幹部の引き渡しや情報共有を進め、二国間の治安協力は一定の成果を上げているとの評価もある。だが、主権をめぐる両国の認識の違いは依然として解消されていない。
シェインバウム氏は「今回の会話でトランプ氏が国内での作戦実行を求めることはなかった」と述べるとともに、最近メキシコが米国に移送した多数のカルテル関係者についても議論があったと説明した。この移送は治安協力の一環として両国間で進められている。
