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メキシコ、カルテルメンバー37人を米国に移送、連携強化

メキシコ政府はこの37人の送致が過去12カ月間に実施された3回目の大規模な送致であり、合計92人を米国へ引き渡したとしている。
メキシコ、陸軍が押収した麻薬カルテルの銃器(Getty Images)

メキシコ政府は20日、麻薬カルテル関係者37人を米国に送致したと発表した。それによると、今回の送致は「重大な影響力を持つ犯罪者」を対象とするもので、今後は米国側での捜査・裁判手続きに委ねられる。メキシコ政府はこの37人の送致が過去12カ月間に実施された3回目の大規模な送致であり、合計92人を米国へ引き渡したとしている。

ハルフッシュ(Omar Garcia Harfuch)治安・市民保護相はX(旧ツイッター)への投稿で、「送致された37人は国内治安に深刻な脅威を与えていた」と説明した。送致対象にはシナロア・カルテルやハリスコ新世代など、複数の犯罪組織のメンバーが含まれており、いずれも米国内で未解決の刑事事件があるという。重武装した治安部隊が空軍機に容疑者たちを搭乗させる動画も公開され、厳重な警備体制のもとでの送致が行われた。

メキシコ政府によるカルテル関係者の送致はトランプ(Donald Trump)米大統領が国境を越える麻薬密輸や犯罪組織対策への圧力を強めていることを受けて実施された。トランプ氏は陸路での麻薬流入阻止に重点を置く姿勢を示し、必要に応じて軍事行動も辞さない考えを示している。こうした強硬な姿勢を背景に、米政府はメキシコ側に治安協力の強化を求めてきた。

これに対し、メキシコシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は米側と協力する姿勢を示しつつも、米軍の介入は不要であるとの立場を維持している。先に行われた米墨首脳会談でも、治安協力の重要性が確認された一方で、メキシコの主権を尊重する必要性が強調された。

今回送致された人物の中には、米国での麻薬密輸、殺人、恐喝、人身売買などさまざまな罪で起訴されている者が含まれるとみられている。メキシコ政府がこれらの人物を米国に引き渡す理由として、国内刑務所内でも組織犯罪を継続できる可能性があることから、治安維持上の必要性が挙げられている。カルテルの影響力を抑えるためには、国外での法的手続きを優先することが効果的だと判断したという。

カルテル送致は従来の司法手続きによる正式な「引き渡し」ではなく、国家安全保障法を根拠にした迅速な移送として実施された。これにより、米側での訴追や拘束が迅速化する一方、法的な手続きや人権保障の面で議論を呼んでいる。専門家はこのような大量送致が両国間の法的枠組みや犯罪対策協力に新たな課題を投げかけていると指摘している。

メキシコは長年にわたり、カルテルの麻薬密輸や暴力犯罪の抑止に苦戦している。米国市場へのフェンタニルなど合成麻薬の流入が社会問題化する中、治安当局は国内外での積極的な取り締まりを進めているが、カルテルの再編や内部抗争による治安悪化は依然として続いている。今回の送致も、米国との連携強化による治安改善策の一環と位置付けられている。

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